第15話 「フッ、坊やだからさ」
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
第15話 「見ろ。あれが諸悪の中心だ」
フリードリヒ四世である。
以前ルードヴィヒから聞いた。
弟のような二人がやってくるというので、楽しみにしておった。
薔薇園にはお茶の用意もしてある。
「は、初めまして。ラインハルト・フォン・ミューゼルと申します。皇帝陛下」
おお、金髪の方か。声が上ずっておるわ。
して中々にかわいらしい子じゃ。隣にいる赤毛の方もかわいいがのう。
それにしても内になにやら、秘めたものがありそうじゃな。才気もある。これは中々の逸材じゃ。ルードヴィヒがおらねば、こやつに任せても良かったかもしれん。
「ジークフリード・キルヒアイスと申します」
目つきも凛っ、としておるわい。
それに引き換え、ルードヴィヒのかわいげのない事と言ったら、ため息がでるわ。
「黙れ、アル中」
ほれ、口を開けば、この始末じゃ。
育て方が良かったのやら、悪かったのやら……。少なくとも親を敬う、という一点においては、間違えたわ。
執務室でのあのねこかぶりとは、うって変わっておる。
「一応、敬意は払ってやってるつもりだがな」
「それでか、のう?」
「アル中なのは、事実だろう。毎日毎日浴びるほど、飲みやがって」
なにを言うか、日に三本しか飲んでおらんわ。
それに二人が、目を丸くしておる。
これが皇帝と皇太子の会話かと、な。
「日に三本も飲めば、立派なアル中だろう。ラインハルトにジーク。こんな大人になってはいけないぞ」
「うむ。確かに、ルードヴィヒのような大人に、なってはいかんな」
■宰相府 ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム■
今日、ラインハルトとジークを連れ、親父に会いに行った。
まあ、親父は二人を気に入ったようだった。
なにかあれば、力になってやろうというほどに、な。
それ自体は、良かったのだろう。しかしまさか親父があんな事を言い出すとはな。
「ラインハルトにジーク。二人に申し渡しておく事がある。今はルードヴィヒが帝国の再建を致しておる。しかしこの先、何が起こるやも知れぬ。もしも、もしもじゃ。ルードヴィヒが志半ばで、倒れたときは、お主らがルードヴィヒの志を継ぐのじゃ。そなたらはルードヴィヒの弟のようなものじゃ。わしにとっては子も同然。良いな」
まったく、そこでなぜ、わしがやるとは言えんのだ。親父め。
ガキに押し付けんなよ。
それにしても……ラインハルトにジーク。
お前たちはどうして、俺の後ろに隠れているんだ?
ラインハルトの視線の先を、眼で追う。
ふむ。アンネローゼがいる。あいもかわらずシスコンかと思ってたのだが、どうも様子がおかしい。
ラインハルトがアンネローゼを見て、怯えている!!
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ