31部分:第三十一章
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けれど」
「けれど?」
「やっぱりこれじゃあ僕は倒せないよ。ほら」
今度は姿を消した。そうして炎も稲妻も氷もかわしたのであった。
「こうすればいいだけなんだから」
姿は消えていた。声だけがする。
「消えた!?」
「そうだよ」
魔人の声が述べてきた。
「こうしてね。一旦消えて」
「消えて」
「また出て来るから。ほら」
沙耶香の一人の後ろに現われてきた。すぐにその頭から右手で引き裂こうとしてきた。
「くっ」
それで沙耶香の一人の姿が掻き消えた。その沙耶香は影であったのだ。
「何だ、影だったんだ」
「残念だったわね」
沙耶香は一斉に彼から身体を離して応えてきた。
「それは私であって私ではない」
「影の一つだったのよ」
「外れか。けれどね」
魔人はまた姿を消してきた。今度は速水の一人の前に姿を現わしてきた。
「むっ!?」
「こうやってね」
彼の心臓に突きを入れる。そうして心臓自体を引き摺り出すつもりだったのだ。
「一人ずつ。消していけばいいよね」
今度は速水が消えた。魔人はその消えていく有様を見て無邪気に笑っていた。速水の一人はまるで霧のように彼の前で消えていくのであった。
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