第四十話 開かずの間その七
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「これで怪談は怪談のままよ」
「開かずの間のままですね」
「これからも」
「そう、多分この体育館が古くなって取り壊されるまでね」
建物は何時か必ず壊れる、人が造ったものならばそうならないものはない。そしてその時まで怪談として残るというのだ。
「このままよ」
「ですね、けれどここも違いました」
「泉じゃなかったです」
「そろそろ行く場所が限られてきたと思うが」
日下部は二人にこう言った。
「違うか」
「ですね、確かに」
「これまで色々回りましたから」
そうしていった、それでだった。
「もうそろそろですね」
「限られてきています」
こう二人に話した。
「後は、そうですね」
「幾つあるかわかりませんけれど」
何しろ広い学園だ、保育園から大学院まである。しかも学部学科も相当な数である。
その分だけ怪談がある、そしてその中でなのだ。
「もう結構回ってますから」
「後は少ないです」
「では茶道部の茶室は行ったか」
「茶道部って高等部の」
「あそこですか」
「そうだ、あの茶室も十二時になるとだ」
その時にだというのだ。
「妖怪の人達が集まってだ」
「また宴会ですか」
「あそこでもやるんですか」
「そうだ、そうする」
その茶室でだというのだ。
「とはいっても茶室なので酒は飲まないがな」
「お茶、ですね」
「それとお菓子ですね」
日本では茶と共に口にするのは和菓子だ、これはもう決まっている。
「そういうので宴会ですか」
「あそこでも」
「茶室といっても高等部 のあの茶室ではない」
日下部は愛実が行った高等部のそこではないと答えた。
「また違う場所だ」
「というと何処の茶室ですか?」
「茶室って幾つもあったんですか」
二人は茶室は茶道部にしかないと思っていた、だがそれは違っていた。
「高等部以外にも」
「他の場所にもあるんですね」
「ここで言う茶室は大学だ」
そこの茶室だというのだ。
「大学の茶道部の茶室だ」
「ああ、博士のおられるですか」
「八条大学のですか」
「そうだ、そこに夜の十二時だ」
その時に行けばいいというのだ。
「そこには広い茶室と狭い茶室がありだ」
「ああ、、狭い茶室の方にですね」
「そこに入ればですね」
二人もここでわかった、応接用ではない茶室の出入り口は狭くその中もだ。それではだった。
「泉かも知れないんですね」
「あそこが」
「そうだ、行ってみるといい」
その茶室にだというのだ。
「若しかするとそこがな」
「泉ですね」
「そうかも知れないですね」
「だから行くといい」
こう二人に話す。
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