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魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜賢者の槍を持ちし者〜
Chapter29「拭えぬ過去」
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ドガーに差し出す。

「一人間ヴェロッサ・アコースとしては、君は信用に足る人間だと思うよ」

意外だった。どうもこのヴェロッサ・アコースという人間の中で、ルドガー・ウィル・クルスニクという人間は本人が思っていたよりも好印象のようだ。

「根拠は?」

「はやてが君の事を信頼しているから……じゃダメかい?」

いくら査察官としての立場ではなくヴェロッサ個人の評価でも、どうもルドガーには彼のやり方が甘く見えてしまう。はっきり言ってルドガーは六課の不協和音であり、彼の力とその存在は六課を転覆させなかねない。だが彼のその心意気ははやて同様に嫌いになる理由はなかった。
故にルドガーは彼の手を取り、握手に応じる。

「よろしく、アコース査察官」

「ロッサでいいよ、ルドガー君。それと……」

突然表情が真剣なものから、人をからかうような表情へと一瞬で変わる。

「はやては僕にとってあくまでも妹のようなものだから、安心してアタックしていいからさ」

「なっ!?」

ヴェロッサの言葉で初めて動揺が走った瞬間だった。

そしてルドガーはまだ気づいていない。


この刹那の動揺と握手という行為を使ってヴェロッサが自分の記憶を読もうとしている事に。


(……すまないね、ルドガー君)


査察官として土足で心の中に入り、勝手に記憶を見る事に対してヴェロッサとして謝罪する。
ヴェロッサがルドガーを信用しているのは本当だ。

だが彼は立場上、不安要素のある人間を内偵しなければならない。ルドガーに悟られない内に思考調査を始める。



だが、ヴェロッサは記憶を読みとれなかった……。


お互い手を離し、ルドガーは職務に戻り、ヴェロッサははやての下に戻る。

「ロッサ?」

「あ、ああ、なんでもないよ」

はやてに話しかけられた事で我にかえるヴェロッサ。

(まさか……僕が他人の記憶を読む事ができないだなんて……それにあんな事が)

ヴェロッサは触れた相手の記憶を読むレアスキルを所有している。
だが今回ヴェロッサはその能力でルドガーの記憶を読む事ができなかった……いや、記憶を読む事を自ら中止した……あの時、記憶を読んだ瞬間ヴェロッサはこれまでに経験した事のない恐怖に襲われた。

ルドガーの精神に侵入したはずのヴェロッサは、いつの間にか金色と無数の歯車に支配された空間の中に居た。動揺するヴェロッサ。

空間が何なのか詮索を始めようとした瞬間、彼の体に変化が起きる。
突如彼の手が指先から黒い何かが広がり始め、それはどんどんヴェロッサの全身をまるで乗っとろうとするかのように侵食していった。

頬から右目まで侵食された際、これ以上ルドガーの記憶を読む事は危険だと判断し、彼の
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