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魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜賢者の槍を持ちし者〜
Chapter29「拭えぬ過去」
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心だけど」

まただ。ヴェロッサがはやての名前を口にすると胸に微かに痛みを覚える。そしてその痛みは名前を聞く度に少しづつ大きくなっているような気がする。

「君は異世界渡航者だったね。それも未だ確認されていない未知の世界……」

「そうらしいな」

ルドガーがミッドチルダに漂流してもう2ヶ月は立つ。
管理局は未だリーゼ・マクシアやエレンピオスが存在する世界を発見できてはいなかった。

「成る程……確かに聞いていたとおりだね」

「ん?」

「ルドガー君。君は何故、自分の世界の捜索にそこまで消極的なのかい?」

異世界渡航者は保護された場合、通常なら管理局がその人物の出身世界を捜索し送り返すのが常識だ。だがルドガーは自分の世界の捜索に乗り気ではない上、挙げ句捜索を打ち切ってもかまわないとまで言ってもいた。管理局側もこれまでにないパターンに対応に困り、とりあえず規則として予め定められている期間内の間は、ルドガーの世界の捜索を続ける事にしている。

「……俺はもう、あの世界で存在する事はできない……死んだも同然だ」

「死んだも同然?」

ルドガーの口にした元の自分の世界に帰らない理由を聞いたヴェロッサだが、言葉の意味がわからずにいた。だがルドガーは話しを続ける。

「もうあの世界に後悔はない。だから帰る必要もない。俺はここで、自分の世界を作りたいんだ」

「なるほど……君は聞いていた以上に変わった人間だね」

ヴェロッサのルドガーの情報源がどういったものかはわからないが、少なくともヴェロッサは今のルドガーとの会話で彼に興味を持っていた。

「変わった人間って……俺からすれば、アコース査察官の方が変わってると思うけどな」

「へぇ……それは気になるな。例えばどんな所がそう見えるんだい?」

顎に手をやり悩んでいるような仕草をするルドガー。考えがまとまり口を開く。

「簡単に言えば、パッと見何を考えているか読めないところとか、普通に話していても相手を観察しているようなその眼差しが、一般人より少し違うように見えるんだよ」

「はっは、確かによく姉さんやはやてに言われるな。査察官という立場は、洞察力がないとやっていけない仕事でね……物事の奥に隠された真実を僕達は見抜かなければいけないんだ」

この会話でもヴェロッサはルドガーの言葉の端から彼を観察していた。
ルドガーもそれを見抜いていた上で、簡単にだが自分の事を話していた。
少ない情報からヴェロッサがどれほど自分という人間を見極められるか確かめる為に。

「で、俺を観察して何かわかったんですか?」

「そうだね……査察官としては今の会話だけで君がどういう人間か判断する事はできないね……けど」

そう言ってヴェロッサは右手をル
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