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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第四十八章 その意志の強さ《1》
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、それに気を取られている内にセーランは右足に流魔線を繋ぎ、縮めたのだ。
 地面に背中から打つ形で落ち、数センチ一回弾んで着地した。
「あらあらあ、足元注意ですよおおお?」
 馬鹿にするように、セーランは左手を口に近付けて言う。
 これには少しイラッときた。
「ふ、随分と余裕だな」
「少しからかっただけだよ。――あだっ!」
 言うセーランの額に、小石がぶつかった。
 上半身を上げた八頭が投げたものであり、小石と言っても角のある小石だ。
 角に額を打たれたので、これはこれは痛いものだ。
 額に手を当て、擦りながらセーランは言う。
「見た目によらず子どものようで」
「なんとでも言え。少し話そうか」
「今までかなり話したと思うんだけども」
「委伊達家の悲劇についてだ」
 これを聞いて、セーランの表情は真剣なものになった。
 彼女には対する想いは確かにある。
 一先ず合格だ。
 攻撃の手をお互い休め、八頭は前置きを置かずに話し始める。
「委伊達家の悲劇とは、権力争いのことだ」
「それがなんで悲劇になる」
「権力争いは身内争いのようなものだ。身内に自身よりも強い者がいたらば、自身が頂点に立つにはその者を無き者にしなければならない」
「そうだろうな」
「しかし、前代の委伊達家。つまりは委伊達・奏鳴に親がいた時には、現宇天学勢院覇王会、委伊達・奏鳴が唯一権力を継ぐ者だった」
 委伊達・奏鳴に親がいた時代。
 分かっている。
 彼女は自身の家族を、その手で殺めてしまっている。
 自分には理解出来無い苦しみが、彼女を襲ったに違いない。
「それは何故か、分かるか」
「力を持っていたからかな」
 委伊達家は代々、上位神と知られている竜神を納めている。
 その借りとして竜神は、子どもを身ごもった際に自身の血を引き継いだ神人族を授ける。
 しかし、これは必ずではない。
 その為、一代で数名、竜神の血を引き継いだ子が産まれれることもあり、その際にいざこざが生じる。
 もし竜神の血を引き継ぐ者が一人だけだったならば、跡継ぎはその子となる。
「確かにそうだ。しかし、委伊達・奏鳴の兄、姉、妹は少量ながら竜神の血を引いていた。委伊達・奏鳴に流れる血が殆ど、竜神の血だったこともあるが、それ以外の点で何故そうなったのか」
「家族全員を殺したからか。一人残ったらそいつが継ぐしかない」
「と返すと思ったよ。その通りだ。だがな、委伊達・奏鳴は中等部に上がった時に、前竜神の宿り主であった父親から竜神を渡され、新たな竜神の宿り主となっている」
 重要なのはここからだ。
「それは何故か。まだ十二の娘に、竜神を宿した理由とは何か。答えてみろ」
「父親が自身の死を悟ったからかかな、勘だけど」
「なら見事な勘だ。正解だよ。委伊達・奏鳴の
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