第一物語・後半-日来独立編-
第四十八章 その意志の強さ《1》
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の真上の空にそれが姿を現した。
来ると思い、待っていた者だ。
「来たか。日来学勢院覇王会会長、幣・セーラン」
「あんたが手紙くれた人か。俺はやって来たぜ」
「タメ口とは礼儀がなっていないようだ」
「それはお互い様だろ」
宙に浮かぶセーランは、左の手から伸ばした流魔線を別の木に移し変え、流魔線を縮める。
重力に従い落ちるも、急速に縮めた流魔線に引っ張られるように地面ではなく木へと足を着く。
そのまま流魔線をゆっくりと伸ばしていき、高さ十数メートルの木から着地した。
流魔線を消し、セーランは手紙の渡し主であろう青年へ数歩近付く。
ポケットから手紙を取り出し、見せ付けるように見せて。
「これ、あんたのでいいんだろ」
「ああ、間違いない」
頷きも入れて、青年は答えた。
「そうか、なら良かったわ。じゃあさ、早速聞かせてもらえるか、手紙に書いてあった委伊達家の悲劇っていうのをさ」
「いいだろう。しかし――」
の後に、青年は消えた。
違う。瞬時にセーランの元へと移動してきたのだ。
それも鞘から刀を抜き、振り抜く形で。
だからセーランは流魔操作によって小型の盾を創り、その盾で刀を防いだ。
冷たい音が響き、防ぐことが出来たことを示す。
「お前の意志が、宇天長を救う気持ちに揺らぎが無ければだ」
「そんなもんねえよ。告ったからには最後にフラれるまで突き通す。告ったら粘っこく、フラれたらすっぱりと、だ」
「お前は一度、フラれたのではないのか」
「馬鹿か。日来のあの時は“私が好きならば、私が死ぬことを黙って見てろ”て宇天長は言ってたの。それに俺をフッたようなこと言ってねえし」
「それは悪かった。ただ坦々と話すのも面白くない、刃を交えて話そうか」
「遠慮願いたいねえ」
「強制的だ」
振り払い、盾ごとセーランと突き放す。
見た目に似合わず力が強く、少しばかし油断していた。
面倒臭いと思いながらも、構わないと話してもらえそうにないので仕方無く付き合う。
距離が開き、その状態で青年は話す。
「自己紹介がまだだったな。俺は八頭・巳刃河、辰ノ大花の社交院に勤めている」
「へえ、八頭家のねえ」
「妖刀使いの家系だからな、氏くらいは知っているか」
「遠慮がてら妖刀は無しってことで。このままじゃ分が悪いからさ」
「わざわざ使うまでもない」
「そりゃあ、ありがたい」
近くに落ちていた石ころをセーランは拾い上げ、それを八頭に向かって投げた。
ただそれだけなのだから、八頭は一歩動いただけで石ころを避けた。
終わりではない。
本命はここからだ。
急に八頭の体勢が直立からこけたように、頭が後ろへ下がった形となった。
どうしてなのか、八頭にはすぐに解った。
流魔線だ。
石を投げ
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