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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第四十八章 その意志の強さ《1》
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目を開けるで御座る! ここで倒れては駄目で御座るよ!」
 後片付けの時に困るからである。
 声は聞こえるが、身体は動かなかった。
 動かす気力も無く、顔が横へと勝手に向く。
 そこで見えたのはスパッツ。
 下着の一種でもあるもの。
 魅鷺の太股に張り付き、絶妙に肉との段差を付けている。
 これぞ、変態。
 男子のクラスメイトでよく好みの話しをするが、今度好みの話しをする時はスパッツが好みと答えよう。
「スパッツは下着で御座った……」
 その一言を残して、介蔵は力尽きた。
「介蔵殿!? 介蔵殿――――!!」
 身体を必至に動かすが、目を覚ますことはなかった。
 それでも魅鷺は何度も声を掛け続け、起きるようにと続けた。
 二人のいる場所に、冷たい風が吹いた。
 一つの茶番の終わりを告げる、冷たい風が。



 西貿易区域を、同じ西から見ている青年が一人。
 右腰に二本の刀を携え、誰かが来るのを待っていた。
 後、三十分。
 映画面|《モニター》越しに、仲間から連絡が来たのだ。
 宇天の長が解放されるまでの、残された有余を伝えに。
 解放が始まっては、解放場による結界により近付けなくなる。
 解放場は元は神を葬|(はぶ)るための道具であり、同時に流魔分解を引き起こす大型処刑兵器でもある。
 過去には魔物を処刑した例もあり、解放場と言うだけで兵器となんら変わらない。
 草木が踊る、人気の無い朽ち果てた村には彼以外誰もいなかった。
 木造の家には苔が生え、所々虫にかじられた後がある。
 地面には雑草が生い茂り、枯れ葉が無造作に落ちていた。
 そんななかで、青年は自分がしていることが正しいのかを自身に問うていた。
 宇天の長のことを思うならば、これ以上苦しませないために解放を行わせた方がいいのだろうか。
 解放は痛みを感じず、ただ流魔に分解されて、その果てに身体全てを分解して解放完了とする。
 しかし、もし、宇天の長が生きる意味、希望を見出だせたのならば、苦しみに抗い生きようとするだろう。
 だから自分は、後者の方を選んだ。
 生きたいと願うのならば、自分はそれに全力を尽くして応えると。
 亡き家族の魂が眠るこの場所で、もっとも宇天の長に近付けるであろう者を待っていた。
 すると、耳をくすぐる木々が枝や葉をぶつけて鳴る音。
 時折、人の声が聞こえる。
「来たか」
 声は男性のもの、しかしまだ若さの残る声だ。
 青年は着物に似た服の裾を正し、声のする方を向く。
「見極めさせてもらうぞ、お前の意志を」
 徐々に声は近付き、比例して木々がうるさく音を立てる。
 距離は近い。
 もうすぐで来るだろう。
「やっほ――――い!」
 上から声がした。
 木々の上を何かが通り過ぎ、丁度自分
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