第三章:蒼天は黄巾を平らげること その1
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り』と」
「・・・今一分からないのですが」
「ったく、これだから精液達磨は・・・」
荀イクは我慢できないとばかりに会話に入ってくる。出番を奪われたように少し傷つく可憐な主を他所に、彼女は捲し立てた。
「いいかしら?もし早馬の話が本当だとしたら、私達が北に行くまでには戦況なんてすぐにひっくり返るわよ。袁紹と、公孫讃の方にね。
袁本初というのは、4代にわたって三公を輩出した名門の生まれ。華琳様に敵うなんて夢にも思ってないけど、その辺の雑多な軍師よりかは軍略に精通しているわ。そして公孫讃は勇猛果敢な騎馬隊、白馬義従を従えており、幽州の太守である彼女が軍略を知らない筈が無い。例え数の利で押されていようとも、二人が協力すれば黄巾賊の有利なんてすぐに覆るわ。
早馬の言葉は覚えているかしら?『既に現地付近では袁紹、そして公孫讃の連合軍が賊軍と交戦している』。でも私達の草はそのような事を伝えていないわね。この意味が分かる?『官軍と碌に戦っていない賊軍本体と正面衝突する』という意味が」
「・・・なるほど、理解がいった」
「おい、何を言っているんだお前は。私にも分かるように説明しろ」
「早馬は嘘の報告を齎して、俺達をはめようとした」
「なんだとっ!?今すぐそいつをここに引き立てろ!!私が粛清してやるっ!!」「時に落ち着け姉者。そうすぐかっかするといつか胃が・・・」
つまる所、荀イクの話はこうやって結論付ける事が出来る。『うちの情報の方が正しいんだ。態と偽の情報を掴ませるなんてどういう了見なんだ』。
仮に早馬に従って広宗に向かえばーーー曹操軍単独だろうがそうでなかろうが関係ないがーーー、まだ小競り合い程度しかやっていない、戦力を温存している賊軍とぶつかる事になるのだ。その数は荀イクの表情の厳しさを見るに、西華の何倍もの数であろうと予測できる。凡そ、数十万の敵である。そんなのに立ち向かってまともな勝利を得られ、ましてや生存できる可能性があるだろうか?・・・もしかしなくても夏候惇ならば『是』と答えるだろう。だが仁ノ助にはそうとは考えられない。この世は物量による戦争こそが至上であるのだから。
疑惑は疑惑を呼び、仁ノ助は次の疑問にぶつかった。どうして早馬は、すぐに考えればわかってしまうような情報を流す必要があったのだろうか。「なぜこんな嘘を」。そんな彼の言葉に応えたのは、出番を回復せんとする曹操であった。
「・・・経験からくる憶測になるけれど、おそらく早馬には裏がいるわ。陰謀を張り巡らす蛇のような輩がね。そして『その者』は官軍の勝利を確信していて、その上で更なる安全を図るために、大陸の状況を盤石なものにしたいのでしょう。来るべき乱世に向けての準備を整えているのでしょうね」
「・・・華琳様。それって『群雄割拠の乱世』、っていうやつで
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