暁 〜小説投稿サイト〜
占術師速水丈太郎 白衣の悪魔
28部分:第二十八章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第二十八章

「じゃあ私はこれで」
「私はこれを」
 速水は魔術師のカードを出してきた。すぐに赤い法衣を来た魔術師が姿を現わしてきた。
「穴を破壊するわよ」
「ええ。それでは」
 二人は同時にその鎌と魔術師の炎を放った。紅い紅蓮の炎が銀色の風と合わさってそうして出入り口に向かう。そのまま黒い闇を直撃して消し去ったのであった。
「これで一つね」
「はい。ただ思ったより呆気無かったですね」
 速水はそう答えてきた。
「もっと頑丈かと思ったのですが」
「そうかしら」
 だが沙耶香は彼のその言葉には懐疑的な言葉で返してきた。
「私はこんなものだと思ったわ」
「それはまた何故」
「所詮入り口よ」
 沙耶香は答える。
「それにあの彼がそう凝ると思って?それを考えるとね」
「脆いのも道理というわけですか」
「そういうこと。それじゃあ」
 彼女はここで壊れて消え去った出入り口を背にして立ち去った。
「まずはこうして出入り口を一つずつ消していきましょう。この程度だったらお互い一人で充分でしょうしね」
「そうですね。それではそれぞれで」
 速水も沙耶香の言葉に応える。
「またお別れして」
「ええ。移動の方法は持っているわよね」
「はい」
 ここで運命の輪のカードを出してきた。
「これで」
「そう。それなら手分けしてね」
「ええ」
 こうして彼等は門を次々と破壊していく。それが終わり夕刻になると二人は店で落ち合った。今度はバーで洒落たカクテルを飲みながらであった。
「そう。一つを残してね」
「ええ、一つを残して」
 沙耶香に速水が応える。二人はそれぞれ互いのカクテルを飲んでいた。そうして話を進めていたのであった。カウンターに二人並んで座っている。
「そう。ではそれでまずは一つになるとなると」
「後はそこで待っていればいいだけ」
「さて。明日かしら」
 沙耶香はカクテルを片手に述べてきた。カクテルはブラッディ=マリーである。速水のカクテルはスクリュードライバーであった。彼等の好みの酒である。
「勝負の時は」
「そうですね。今頃は戸惑っておられるでしょう」
 速水はまた述べてきた。
「出口が殆ど消えてしまい」
「けれどそれではめげないわよ」
 そう言ってくすりと笑う。
「ああした子はね」
「めげませんか」
「貴方と同じよ」
 沙耶香は速水を見て言ってきた。妖しく笑うその顔は彼に向けていた。
「そういうところはね」
「おや、私もですか」
「私は気紛れなのよ」
 次に自分について言うのだった。
「それなのにどうして今もまた声をかけてくるのかしら」
「私の気持ちはわかって頂けている筈ですが」
「わかってはいるわ」
 それは認める。しかしそれ以上ではない。
「それでもね。それ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ