大会〜予選〜
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「全然嬉しそうじゃないよね」
「そりゃ、次の相手が……」
悪すぎると言う言葉を口の中で飲み込んだ。
相手をするのは不敗の名将だ。
原作で自由惑星同盟が以下に劣勢になりながらも、一度も負けたことがない。
そもそも原作での初戦であるアスターテで、詰んでいる。
一個艦隊に三個艦隊が破られて、普通ならばまずいと思うだろう。
三次元チェスで言えば、ポーンと優秀な女王だけで戦っていたようなものだ。
それでいて不敗と呼ばれる人間に、注意などしてもし足りない。
それでもいまだエルファシルが起こっていないことから、ヤンの評価は高くない。
この時点でヤンは、ワイドボーンに勝利した事があるという程度の評価だ。
シトレ元帥からはそれなりに評価されているかもしれないが、生徒だけで言えば彼の友人であるラップと後輩のアッテンボローの評価が高いだけ。
その優秀な二人は、今回同じチームでうちと初戦で当たることが決定しているのだが。
「確かに決勝大会は一筋縄ではいかないと思うけど、でも、僕は君たちが優勝すると思うよ」
「それは随分な褒め言葉だな」
「そうじゃなきゃ、負けた僕たちも――そしてEグループの誰も納得しないと思うよ。君たちにはEグループの期待がかかっているし。それに」
「それに?」
「ほら……僕の期待もね?」
差し出されたのは、汚い手書きの文字のトトカルチョの券だ。
あまつさえ、そこにはどうしてかワイドボーンチームとの文字がある。
「五十ディナールとは大きく賭けたね」
「フェーガンは七十ディナール賭けたらしいよ。それで結婚式をするんだってさ」
「結婚式?」
「うん、卒業したらすぐに結婚するって約束してるみたいだね」
「もっと楽しめばいいのに。なぜ卒業して墓場に行きたがる?」
「いまだに誰とも噂のないアレスに言われたくはないと思うけどね」
「それは君もだろう」
そう呟いて、二人で小さく笑う。
「アレスは恐い顔をしていなければ、顔はいいんだから。ほら、事務長の娘さんとかどう?」
「ないな」
断言した言葉に、スーンは目を丸くした。
「なんで。凄い可愛いと思うけど」
「相手がいるのを知って、手を出すのは面倒くさい」
「なんでそんなこと知っているのさ」
「俺の知っている、歴史ではね」
「はいはい。またそうやって誤魔化すんだから。じゃ、コーネリア先輩とかどうなのさ?」
唐突に出てきた名前に、アレスはスーンの頭に拳骨を落とした。
思わぬほどに大きな音がして、スーンが涙目でアレスを見上げる。
「そうやって人のことをあれこれ聞く前に、まず自分の心配しろよ。それに俺はフェーガンと違って、まだ墓場にいくつもりはないぞ」
「それにしては遊んでいるわけでもないんだ
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