大会〜予選〜
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、いまだに立ち直っていない人間もいると聞く。そう思えば、まだ全員がこうして決勝戦を見ている彼らのチームはマシと言えるのかもしれないが。
決勝戦前は嬉々としていたフォークですら、いまだにモニターを見つめながら動こうとしない。指を噛みながら、違うと小さく呟く様子に取り巻きさえ近づけないでいる。
ぎりぎりの戦いであったならば、否定のしようもあったのかもしれない。
だが、完膚無きまでに徹底的に叩き潰された。
『Eグループ、優勝。ワイドボーンチーム。諸君らはEグループの戦いにおいて……』
いまだため息しか出てこない中で、始まったのは簡素な表彰状の授与だ。
シトレ学校長が語る言葉を、当然とばかりにワイドボーンが胸を張っている。
さらされる視線にどこか居心地悪そうなのが、一学年のテイスティアだ。
彼の友人であるアレスは、後方の方でどこか難しい表情で聞いていた。
彼の頭の中では、既に次の戦いを考えているのかもしれない。
決勝大会でのことを。
「スールジュ……失礼。スールズカリッター候補生はマクワイルド候補生と友人だったか」
「ええ。でも、友達にも全然容赦がなくて困っています」
「猫がトカゲを弄ぶように加減されるのは、御免こうむるな」
「僕もそう思います」
「辛気臭い顔だな、おたくら」
金属音とともに、笑いを含んだ声。
背後で知恵の輪をいじりながら、四学年の男がからからと軽薄な笑みを浮かべていた。
ライアン・プレストン候補生。
実力こそは高いものの軽い言動と行動から上からの評価は高くない。
しかし、その明るい性格はムードメイカー的な役割を持っていた。
彼らのチームが立ち直ったのも、彼のおかげかもしれない。
三学年を圧倒した試合を見て、次にあたるチームが落ち込んだ時に『奴らの運が最後まで続くわけがない。俺に任せとけ』といいながら、任せる機会もなくワイドボーンチームに敗北。
平然と『落ち込んだ状態で戦うよりマシだろ』と言い放った。
悪びれもない姿に、誰も攻めることも出来ず、アメーデオですら苦笑混じりに、弱かった自分たちが悪いと結論付けた。
そういう意味では、このチームで良かったのだろう。
多くの事を学び、彼らと交友と深められたのは。
願わくばもう少し戦いたかった。
そう思うのは多くのチームが考えることではないか。
表彰状の授与が終われば、短くも長い一週間の戦いが幕を閉じる。
来週になれば、決勝大会が始まることだろう。
五つの組みがトーナメントで戦い、長ければ三戦――短ければ二戦で、総合優勝となる。この期間だけは全学年が見学することを許されていた。
モニターを置いた特設の大講義室が解放される事になっている。
と、スーンは背中を押された
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