第二十二話 俺にも矜持という物が有る
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だけの大事になったのだからな。……ふむ、それも有るか」
そう言うと国務尚書は何かを考え始めた。
帝国暦 487年 7月 12日 オーディン 新無憂宮 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
久しぶりに元帥府に出仕した。医者の話ではもう少しリハビリを続けなければならないらしい。リハビリのために週に二回、軍中央病院に来るようにと言われた。だが残りの五日は仕事に出るか休息を取るかは自分で決めて良いそうだ。疲れが出ない程度に仕事をしろと言われた。有難い話だ、リハビリはもう沢山だよ、あれをやると疲れて他の事は何もしたく無くなる。
俺が出仕するとグリンメルスハウゼンは大喜びだった。まあそうしていると憎めない爺さんなんだが……、それ以外は何の役にも立たん。頼むから退役して欲しいよ。何と言っても事務処理は全く出来ないんだ、おかげで決裁文書が病院まで押し掛けてきた。俺は右手を骨折してるんだぞ! 少しは労わってくれ。
今日はこれから新無憂宮で国務尚書に会うことになっている。理由はよく分からないんだが国務尚書の執務室に来てくれと言われた。あんまり嬉しくないんだよな、新無憂宮ってやたらと広いんだ。怪我をしている俺にはちょっときつい。義足にはようやく慣れた、最初は違和感が有ったが慣れればそれほどでもない。問題は折れた部分だ。杖を使っているがそれでも長時間歩く事が出来ない、痛みで動けなくなってしまうんだ。
元帥府から新無憂宮に行くまで、護衛の地上車が前後に十台以上並んで俺の乗る地上車を警備した。なんか大袈裟なような気がするんだけどな、実際に一度襲われているから文句は言えん。まあ俺が嫌がっても周囲がそれを許さない。クレメンツが怖い顔で睨むからな。
表には出さないが随分とクレメンツは参っているみたいだ。彼がリューネブルクに護衛を頼んだ、それがリューネブルクの死に繋がったと考えている。確かにそうだ、だがリューネブルクの死はクレメンツ一人が背負う物じゃない。誰よりも俺が背負うべきものだ。一人で背負うな、そう言ったんだけどな……。
多分俺とクレメンツはずっとリューネブルクの死を背負って行く事になるんだろう……。馬鹿げているよな、戦場ではもっと多くの将兵を死なせている。それなのにたった一人の死に拘るなんて……。でもこればかりはどうにもならない、どうにもならないんだ……。
新無憂宮に着いた。杖を突きながらゆっくりと歩く。何の用件かな、反乱鎮圧の恩賞の件かもしれない。勲章を授与すると言うから要らないと断ったんだが……。怪我してるから授与式なんて迷惑なんだ。ケスラー達を昇進させてくれれば十分だ。
ケスラーとケンプを正規艦隊司令官にした。艦隊の編成が終了次第辺境星域へ訓練に行くことになっている。ケスラー艦隊にはグローテヴォール少将を副司
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