25部分:第二十五章
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第二十五章
「貴方は昨夜結構飲んでいたようだけれど」
「否定はしません」
速水もそれは認める。実際に普通の人間ならば酔い潰れる程のものは飲んでいた。
「ですが今は別ですので」
「飲むのね」
「はい。如何ですか?」
沙耶香に顔を向けて問う。
「ここは二人で」
「そうね。ベッドの中でのことはもう満足したし」
その言葉に応えて笑いながら述べる。
「悪くないわね。それじゃあ」
「ええ。いい場所を見つけまして」
「それは何処かしら」
「今泊まっているホテルのレストランです」
こう述べてきた。
「そこですが。如何でしょうか」
「そうね。悪くないわね」
妖しい微笑みをそのままに頷いてきた。
「それじゃあそこに」
「はい」
こうして二人は速水が今泊まっているホテルのレストランに向かった。そこはホテルの上の方にあり窓から札幌の街が見渡せる。柱は煉瓦を合わせた茶色のものでありそこにワインボトルや灯りが備えられている。黒いテーブルの上に白いテーブルかけがかけられそれが絶妙なコントラストを見せている。壁と床は白く観葉植物の緑が実に鮮やかである。二人はそこの窓際の席に座ったのであった。
「ここなのね」
「はい」
二人は向かい合って座っていた。速水は沙耶香に対して答える。
「如何でしょうか」
「景色は満足できるわね」
今度は目まで笑みを浮かべて言う。
「それは満足して頂けましたか」
「ええ。それではワインは」
「はい」
ここでソムリエが出て来た。そうして沙耶香に対して言う。
「マドモアゼル」
「何かしら」
「本日は特別でありまして」
「あら。それじゃあ何を出してくれるのかしら」
「フランスワインです」
「フランスね」
沙耶香はフランスワインと聞いてその目を楽しそうに細めさせてきた。それは速水も同じであった。
「それでは私は」
「何を頼まれますか?」
「シャトー=ムートン=ロートシルトを」
彼女は言ってきた。
「それを貰えるかしら」
「畏まりました。それではメニューは」
「今日はそちらでも特別でしたね」
今度は速水がソムリエに問うきた。
「確か」
「その通りです。ステーキを」
「ふふふ、いい組み合わせね」
沙耶香はステーキと聞いてまた目を細めさせてきた。
「ステーキは何処の国かしら」
「オーストラリアです」
ソムリエは専門ではないがそう答えてきた。
「オージービーフのステーキは如何でしょうか」
「日本でフランスのワインを飲みオーストラリアのステーキを食べる」
沙耶香はそのことに笑っていた。まんざらではないといった感じであった。
「面白いわね。ここでフランス人だとフランスの肉と言うところだけれど」
「貴女は違うのですね」
「フランスでもオ
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