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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第21話 「ほらよ……涙拭けって」
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くれるような牧歌的な風潮なんて、まず無いはずなんだが。

「ははは。実はの……わしゃ元漢中の警備兵をやっておっての。こうして一人で納入しつつ、不審な人物を捕まえているんじゃよ」

 そう言って、自分の尻の下に隠してあった剣を取り出す。
 おおう……なるほど。

「そりゃいいけど……俺が野盗の類だったらどうするんだよ。こうやって油断させておいて隠れている仲間が〜とか考えないのか?」
「はっ! わしの眼力を甘く見るなよ! これでも警備兵として十数年間を伊達に生き残ってきておらんわ。一目見りゃそいつが怪しいかどうかぐらいわかるわい」

 いや……それ見抜けなきゃ、おしまいじゃねぇ?
 過信していると、痛い目見そうなんだがなぁ……

「まあ、それは冗談だがの。ほれ、後ろを見てみぃ」

 そうして、くいっと指差す後方には。

 何処に隠れていたのかという馬車の群れ。
 どうやらこのおっちゃん、この隊商……キャラバンの囮役のようだ。

「まあ、そういうことじゃよ。野盗は群れより先行している個人を狙う。その方が後続への見せしめにもなるしの。とはいえ、こんなに漢中に近ければそうそう襲われんがの」

 がはははは、と大笑いするおっちゃん。
 大した肝っ玉だよ……

「一人で囮か。それはいいけど……なんで俺にそんなことを?」
「はははは! 言っただろう? わしの目を甘く見るな、と。お主のようなマヌケ……あ、いや、トボけた奴を囮にもできんだろうて」

 訂正した意味あるのか?
 ひどい言われようだな、おい。

「それに、周囲に人の気配もない。こんな漢中に近い場所で野盗をやろうなんて命知らずもおらん。そういうことじゃよ」
「……治安はいいってことか。そんなにかい?」
「ああ。ちょっとでも剣戟の音を響かせてみぃ。警官か張飛将軍あたりが飛んでくるわ」

 ほう……警官制度、発足させたのか。
 さすが馬正……言ったとおり、早期に立ち上げたようだな。

「そんなにか……随分厳しいんだな」
「まあのう。他の地域から死に物狂いで漢中に来るものもおる。そういった中には野盗まがいのものもおるから、選別はしっかりしておるよ。なにより街の者が自ら互いに声をかけておるでの」

 ふむ……防犯・防災意識の改革も順調っと。
 というか、予想以上の効果があるようだ。
 これも、桃香の人徳ってやつなのかね……いや、それは失礼だな。
 努力の賜物ってことだろう。

「ふうん……じゃあ、俺は不審者ではないってことを認められたわけか。間抜けってのが腹が立つが」
「がはは……悪い悪い。まあ、お詫びにと言うのもなんだが、乗ってゆけ。あと半刻(一時間)もすれば漢中じゃ。急がんと牛乳も悪くなるからの」

 そりゃそうだ。
 冷
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