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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第21話 「ほらよ……涙拭けって」
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っているなら一番に城へ申請するように言われたはずだな。虚偽の報告をしたのならば、言い訳はできんぞ」
「………………」

 男は言おうとしていた言葉を言えず、がくっと頭を垂れた。

「それで、この男から物を買おうとした客は?」
「はい、今、そこの店のおばちゃんが相場で売ってくれるところに案内していますので、もうすぐ帰ってくるかと」
「そうか……よくやってくれた」

 この街に来た旅人に対して、そうした不正の被害を未然に防ぎ、なおかつ相場通りの店に案内する。
 このような親切な対応を受けた旅人であるならば、これからどの街に行ってもそれを噂として広めてくれるだろう。
 それはつまり、この漢中の評判はさらに上がるというものだ。

(朱里や雛里の薫陶が生きている……さすがだ)

 民の自意識の育成。
 それをたった一年でこうまで育てた手腕は、実に見事だ。

(これでご主人様さえいてくれれば……)

 なにも……何も問題はないのに。

「いやあ、助かりましたよ。これでお土産が確保出来ました」
「ははは。あたしの魅力も大したものだろ? おまけしてもらったんだからねぇ」
「あ、あはは……それはもう」

 私の背後から、そんな声が聞こえてくる。

「あ、雲長様、その客が帰ってきたみたいですぜ」
「む、そう……か……」

 私が振り向き、その人物を見る。
 そして――私は、手に持っていた愛刀、青龍偃月刀を……思わず、手放した。

 その先にいたのは――

「やあ、愛紗。久しぶ――」

 その言葉を聞くまでもなく。

 私はその胸に、飛び込んでいた。

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