第14話 「シスターToブラザー」
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とすらない。
幻の逸品。
わたし達が驚いていると、殿下は悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「凄いだろう。親父も飲んだ事ないらしい。ざま〜みろ、ってとこだ」
皇帝陛下ですら飲んだ事のないワイン。
思わず手が震えた。
「さてと、驚いてもらえた事だし。本題に入ろうか」
殿下の表情からいたずらぽさが消え、真剣な面持ちになる。
「はっ」
二人して、姿勢を正す。
「サイオキシン麻薬事件からこちら、卿らには調査してもらっていたが、どうも地球教が絡んでいるらしいな」
「はい。地球教徒が所持していたという報告も来ております」
「近いうちに連中のアジトに、一斉捜査に入ろうと思う。ケスラー中佐には陣頭指揮を取ってもらうつもりだ。今回は憲兵隊ではなく。最悪の事態を想定して、装甲擲弾兵を、一個師団投入する」
「そ、それはいささか、大仰に過ぎないでしょうか?」
「早計に兵を動かしますと、かえって民衆を驚かせる事になるかと」
「大げさか? だと良いんだが……。大げさにしすぎて笑われる方が、準備が足りずに取り逃がすより、マシだと思ったんだがな」
皇太子殿下はいったい何を、恐れていおられるのだろうか?
憲兵ではなく、装甲擲弾兵を動かすなど、それほどの相手ではないはず。
「閣下は何を懸念しておられるのですか?」
オーベルシュタイン大佐が問いかけた。
殿下の様子に不審を覚えているのだろうか? このように思う事自体、不敬なのだろうが。
やはり聞いておかねばならないと思う。
「古今東西、という表現がある。今も昔も右も左も世界中ということだが、悪党よりも自分が正義だと、信じきっている奴の方が、えぐい真似をする。自分が正義なら、他は悪。悪魔に同情などいらんということか……」
殿下がどこか遠いところを見ているように思えた。
オーベルシュタイン大佐も同じ事を思ったのだろう。殿下をジッと見つめている。
「分かるか? 奴らにとっては俺達は悪魔に当たる。舐めてかかると痛い目に合うぞ。戦場で敵の下に突入すると思うぐらいで、ちょうど良いかもしれん。それにサイオキシン麻薬を、使用しているのかもしれんしな。えぐいぞぉ〜ヤク中を相手にするのは」
可能性としてはありえる。
今度は皇太子殿下ではなく。私達のほうが考え込んでしまった。
そうすると皇太子殿下のお考えが分かってくる。治安維持部隊の一環である、憲兵ではなくて。つまりは実働部隊を投入。そして投入するなら装甲擲弾兵が最適というわけか。
確かに市街戦及び地上での作戦行動において、装甲擲弾兵以上に錬度の高い部隊はない。
もしかすると皇太子殿下は、私達以上に地球教を、問題視しておられるのだろうか?
「オフレッサー装甲擲弾兵総監閣
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