序章
妖精の尻尾
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だよね」
火竜がパチンと指を鳴らす。
グラスに入ったワインが球になり、宙に浮いた。
「口を開けてごらん。ゆっくりと葡萄酒の宝石が入って来るよ」
(うざーっ!)
口には出さず、顔を背けるルーシィ。
(でもここはガマンよ!ガマン、ガマン!)
そう言って口を開いた時、さっきの美少女の声が頭の中で再生された。
『あの男・・・火竜には気をつけなさい』
(あれ、どういう意味だったんだろ・・・)
ゆっくりとワインが口に入ろうとした、その時だった。
しゅばっと音を立てて、ルーシィが腕を振る。
ワインが床に落ちた。
「これはどういうつもりかしら?・・・睡眠薬よね」
「ほっほーう、よく分かったね」
「勘違いしないでよね。あたしは妖精の尻尾には入りたいけど、アンタの女になる気はないのよ」
そうルーシィに言われ、火竜は顔を怪しく歪める。
「しょうがない娘だなぁ。素直に眠っていれば痛い目見ずにすんだのに・・・」
「え?」
唖然とするルーシィの腕を、何者かが掴む。
後ろのカーテンが開き、屈強な男たちがぞろぞろ現れた。
「おー、さすが火竜さん」
「こりゃ久々の上玉だなぁ」
「な、何なのよ、これ!アンタ達何!?」
慌てたように叫ぶルーシィの顔を、火竜がくいっと持ち上げた。
「ようこそ我が奴隷船へ。他国につくまで大人しくしていてもらうよ。お嬢さん」
「え!?ボスコ・・・ってちょっと・・・!妖精の尻尾は!?」
「言ったろ?奴隷船だと。初めから君を商品にするつもりで連れ込んだんだ。諦めなよ」
「そんな・・・!」
あまりに突然の事に、ルーシィは言葉を失う。
(あの子が言ってたのは、この事だったって事・・・!?)
ルーシィの脳裏に、群青色のカーリーロングヘアの美少女が浮かぶ。
「火竜さんも考えたよな。魅了にかかってる女どもは自らケツを振って商品になる」
「この姉ちゃんは魅了が効かねぇみてぇだし・・・少し調教が必要だな」
「へっへっへっ」
「へへっ」
自然とルーシィの身体が震えはじめる。
(や、やだ・・・嘘でしょ・・・何なのよコイツ・・・!こんな事をする奴が・・・)
ドレスのスリットから伸びるルーシィの右足の太もも辺りに付けられた門の鍵に、火竜が触れる。
「ふーん。門の鍵・・・星霊魔導士か」
「星霊?何ですかい、そりゃ。あっしら魔法の事はさっぱりで」
「いや、気にする事はない。この魔法は契約者しか使えん。つまり僕
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