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Element Magic Trinity
序章
妖精の尻尾
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ェアリーテイル》のナツだ!おめェなんか見た事ねェ!」
「な!」
「え?妖精の尻尾(フェアリーテイル)!?ナツが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士!?」

そりゃ驚くだろう。
さっきまで乗り物酔いをしていた男が、自分の憧れていたギルドに所属しているのだから。
その右肩には、真っ赤な紋章が刻まれていた。

「な・・・あの紋章!」
「本物だぜ、ボラさん!」
「バ、バカ!その名で呼ぶな!」

本当の名前、ボラの名で呼ばれたニセモノの火竜(サラマンダー)はうろたえる。

「ボラ・・・紅天(プロミネンス)のボラ。数年前巨人の鼻(タイタンノーズ)っていう魔導士ギルドから追放された奴だね」
「聞いた事ある・・・魔法で盗みを繰り返してて追放されたって・・・」
「自業自得だね」
「おめェが悪党だろうが善人だろうが知ったことじゃねぇが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を騙るのは許さねェ」

ギリ、と歯を噛みしめる。

「ええいっ!ゴチャゴチャうるせぇガキだ!」

ボラが放った紫の炎がナツを包み、ナツはドサッと倒れる。

「ナツ!」
「次はこっちのガキだ!女も猫もまとめて捕えろ!」

ボラの命令で、3人の男がルーシィ達に向かってくる。
ルーシィは戦うため、鍵を構えた。
その頭に、ポンと手が添えられる。

「ルー!?」
「女の子に戦わせるなんて、ティアに怒られちゃうからね。ここは僕に任せて」
「任せてって・・・アンタ、戦えるの!?」
「酷いなぁ、僕だって妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だよ?」
「えっ!?」

そう言うルーのブレザーの左胸と左手の甲には、深緑の紋章が刻まれていた。

「ルーも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士なの!?」
「そう。だからこのくらいのおじさんの相手は出来るよ」

そう言って微笑み、3人の男に向き合う。
飛び掛かってくる男達を静かに見つめ、ルーはバッと右手を突き出した。
緑色の魔法陣が展開する。

「偉大なる空の裁きを受けよ!大空槍騎兵(アリエスランス)!」

魔法陣が強く煌めき、そこから風の槍が飛ぶ。

「ぐああああっ!」
「な、何だ、この魔法は・・・!」
「あっしは魔法に詳しくねぇ・・・!」
「凄い・・・」
「へへっ」

ルーが照れくさそうにほほ笑む。

「てか、ナツは!?」
「ナツ?んー、今は食事中じゃない?」
「は?」
「まずい」

ナツは食事中という訳のわからない言葉に首を捻るルーシィ。
すると、炎の中からナツの声が聴こえてきた。
ボラが、ルーシィが、残った男たちが目を見開いて炎を見る。

「何だコレぁ。お前本当に火の魔導士か?こんなまずい『火』は初めてだ。アルカの炎の方がよっぽど美味い」

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