序章
妖精の尻尾
[2/14]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
「うんうん」
「仕方ないな〜」
しかし・・・。
「「あ」」
突如列車が動き出した。
窓から身を乗り出していたナツが目を見開く。
「出発しちゃった」
「どうしよっか」
表情1つ変えずにそう呟くハッピーとルー。
走り去っていく列車から、ナツの叫びが木魂した。
「えーっ!?この街って魔法屋一軒しかないの?」
ナツを乗せた列車が出発した頃、同じくハルジオンの街の魔法屋から声が上がった。
そこにいたのは金髪の少女『ルーシィ』。
名前は似ているが、先ほどのルーとは全く関係のない少女である。
「えぇ・・・元々魔法より漁業が盛んな街ですからね。街の者も魔法を使えるのは一割もいませんで、この店もほぼ旅の魔導士専門ですわ」
「あーあ・・・無駄足だったかしらねぇ」
「まぁまぁ、そんな事言わずに見ていって下さいな。新商品だってちゃんと揃ってますよ」
そう言うと、店主は文庫本くらいであろう箱を取り出した。
「女の子に人気なのは、この色替の魔法かな。その日の気分に合わせて・・・服の色をチェンジ〜ってね」
「持ってるし」
まぁ・・・女の子に人気の魔法を女の子が持っていないという方がおかしいのだが。
「あたしは門の鍵の強力なやつ、探してるの」
「門かぁ、珍しいねぇ」
「あっ!」
お目当ての鍵があったのか、ルーシィが声を上げる。
「白い子犬!」
「そんなの全然強力じゃないよ」
「いーのいーの♪探してたんだぁ〜。いくら?」
「2万J」
「お・い・く・ら・か・し・ら?」
「だから2万J」
どうやら値切ってほしいらしい。
言葉じゃダメだと悟ったルーシィは、自分の豊満な胸を寄せる。
いわゆる、「お色気作戦」である。
「本当はおいくらかしら?ステキなおじさまぁ」
そのお色気作戦の甲斐あって、ルーシィはお目当ての鍵を手に入れた。
手に入れた・・・のだが。
「ちぇっ。1000Jしかまけてくれなかったー」
どうやらもっと値切れると思ったらしい。
失礼ながら、所詮はお色気作戦である。
「あたしの色気は1000Jかーっ!」
納得のいかないルーシィは近くのカフェの看板を思いっきり蹴とばした。
近くを歩いていた老人がビクッと体を震わせる。
すると、ルーシィの前を黄色い悲鳴を上げた女の子たちが走っていく。
そこには同じように歓声を上げた女の子たちがいた。
「?何かしら」
首を傾げるルーシィの横を、更に女の子たちが駆けて行く。
「この街に有名な魔導士様が来てるんですって」
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ