序章
妖精の尻尾
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とある建物。
その一室で、水晶玉が転がっていた。
水晶玉はコロコロ転がり、ピキッと割れ、そして何事もなかったかのように元に戻って転がる。
「ウルティアよ、会議中に遊ぶのはやめなさい」
「だってヒマなんですもの。ね?ジークレイン様」
ウルティアと呼ばれた黒髪の女性は水晶玉を自分に触れずに寄せ、自分の頭の上に乗せる。
「おー、ヒマだねえ。誰か問題でも起こしてくんねーかな」
青い髪に顔半分の赤い紋章。
老人達ばかりのこの部屋の中では1番若い。
その発言に、周りの老人は喚く。
「つ・・・慎みたまえ!」
「何でこんな若造共が評議員になれたんじゃ!」
「魔力が高ェからさ、じじい」
「ぬぅ〜!」
ジークレインの言葉に老人たちは喚き続ける。
すると、ジャラ・・・と杖の飾りが音を立てた。
「これ・・・双方黙らぬか。魔法界は常に問題が山積みなのじゃ。中でも早めに手を打ちたい問題は・・・」
そこまで言い、一旦区切り、口を開く。
「妖精の尻尾のバカ共じゃ」
フィオーレ王国・・・人口1700万の永世中立国。
そこは、魔法の世界。
魔法は普通に売り買いされ、人々の生活に根付いていた。
そしてその魔法を駆使し、生業とする者共がいる。
人々は彼らを、魔導士と呼んだ。
魔導士達は様々なギルドに属し、依頼に応じて仕事をする。
そのギルド、国内に多数。
そして・・・とある街に、とある魔導士ギルドがある。
かつて、いや、後々に至るまで、数々の伝説を生み出したギルド・・・。
これは、そのギルドに属する魔導士達の物語である。
漁業が盛んなハルジオンの街
「あ、あの・・・お客様・・・だ、大丈夫ですか?」
ハルジオンの駅で止まった列車内で、1人の駅員がオロオロしていた。
後ろの方でスコップを持った男が、その光景を眺めている。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「あい。いつもの事なので」
「心配かけてゴメンなさい」
桜色の髪に白銀のマフラーをした青年『ナツ』が列車の壁に寄りかかって目を回しながら荒く息をし、そんなナツの代わりに答えた喋る青いネコ『ハッピー』。
駅員に頭を下げるのは、エメラルドグリーンの髪の青年『ルーレギオス』だ。
「無理!もう2度と列車には乗らん・・・うぷ」
「列車に乗らないと帰れないよ、ナツ」
「情報が確かならこの街に火竜がいるはずだよ、行こ」
「ほらナツ!いつまで伸びてるの?」
「ルー・・・ゆ、揺らすな・・・ちょ、ちょっと休ませて・・・」
ルーというのはルーレギオスの事だ
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