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占術師速水丈太郎 白衣の悪魔
19部分:第十九章
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浮かべるのであった。
「夜飲む時はいつも一人なのですよ」
「おや、それは悲しいことです」
 バーテンはそれを聞いて首を横に振る。その動作が実によく似合っている。
「それならばせめて美酒を友としなければ」
「そうですね。それではまずは」
 ここでワインが来る。グラスに注ぎ込まれるワインを見ながらまた言う。
「今宵に乾杯」
「はい」
「そして」
 グラスを手に持つ。そうしてまた一言言ってきた。
「札幌の銀色の夜に乾杯」
「ダイアモンドの夜に」
 沙耶香が美女と濃厚な夜を過ごしている間彼はこうして酒を友としていた。友と遊んだ後で夜の銀世界を滑るようにして去り己の泊まるホテルに入った。札幌で有名なホテルの一室である。そこに入りシャワーを浴びて寝る。朝起きるとまた雪が降っていた。

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