第五章
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ピラミッドの外に急いで駆け出す、そしてそのうえでテロリストの骸を外に出してそこで爆発させようというのだ。
残り一時間、その間に外に出なくてはならない。しかも五十キロ以上はある硬直した骸をである。
担ぎ全速力で走る、そしてだった。
外に向かうが重い、やはりその骸は重い。
だがそれでもだ、カッザーンは諦めなかった。
「ここで私が諦めれば」
ピラミッドが爆発する、それは観光で成り立っているエジプトに大きな打撃となる。そのまま国の未来にも影響することだ。
しかもピラミッドは人類の貴重な財産だ、それならばだった。
「絶対に爆発させる訳にはいかない」
これが結論だった、それ故に。
彼は必死に外に駆けた、テロリストの重い骸を担いだまま。
その重さの前に力尽きそうになる、しかし道は覚えていたのだ。
何とか出入り口まで来た、だが。
時計を見ればもう時間がなかった、爆発まであと三十秒もない。
悠長に外に放り出しても落ちる途中で爆発してピラミッドを外から傷つけてしまう、その危険があったので。
最後の力を振り絞ってテロリストの骸を入口から空中に思いきり投げた、すると。
テロリストの骸は空中で爆発した、爆弾ごと。
カッザーンはそれを見届けてからだ。その場にしゃがみ込んでしまった。
事件は終わった、カッザーンは表だっては賞賛されなかった、テロリストに対する戦いは公にされにくいからだ。
だがそれでもだ、彼はこの功績で勲章を貰い少佐にも昇進した、その彼にフザイファが言った。
「おめでとう」
「有り難うございます」
「君からの報告は読ませてもらった、よくやってくれた」
「玄室から入口まで、ですね」
「五十キロ以上はあるテロリストの骸を担いでか」
「それしかないと思いまして」
「思い切ったな」
フザイファは唸る顔で言った。
「本当にな」
「自分でもそう思います」
「そこから投げたか」
「これでもかと、全身の力を使って投げました」
カッザーンもこう答える。
「いや、本当に」
「しかしそのお陰でだな」
「ピラミッドは、ですか」
「ああ、救われた」
カッザーンを見て笑顔で答える。
「君のお陰だ」
「それは何よりです」
「世の中色々な人間がいる」
フザイファは真剣な顔になってカッザーンに述べた。
「本当にな」
「いい奴もいれば悪い奴もですね」
「ああ、いる」
「ああしたテロリストもですね」
「いるからな」
だからだというのだ。
「こうした事件も起こる」
「そういうことですね」
「こうしたことはまた起こるだろうな」
「そうですね、あの連中はもういないですが」
「他の組織もある」
このことが問題だった、テロリストといっても様々な組織があるのだ。主張や行
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