第四章
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「わかったな」
「わかりました」
こう話してそうしてだった。
カッザーンは単身クフ王のピラミッドに向かった。真夜中に戦闘服でピラミッドの裏手に回る、そこからピラミッドをよじ登っていく。
特殊部隊で鍛えただけはある、彼はピラミッドを一段一段素早く登っていく、そしてピラミッドの裏からその入口に接近した。
そこから中を覗く、今はだった。
テロリストはいなかった、それでだった。
中に入る、やはり中は迷宮だった。
その迷宮の中を慎重に進んでいく、夜のピラミッドの中は不気味なまでに静かで生きている者の気配はない。
その中を進みだった、王の玄室まで行くと。
そこにテロリストがいた、濃い髭の痩せた血走った目の男が彼が部屋に置いた灯りで照らし出されれていた。
テロリストはカッザーンを見て言った。
「御前は何だ」
「御前を倒しに来た者だ」
カッザーンは彼に拳銃を突きつけながら告げた。
「降伏するか」
「降伏だと」
「そうだ、降伏するか」
こうテロリストに問うたのである。
「どうする」
「降伏だと」
「降伏するのなら命までは取らない」
このことを告げるのだった。
「そのことを約束する」
「くっ、その言葉信じろというのか」
「信じる信じないは御前の好きにしろ」
表情は険しい、追い詰められた野獣の様な顔になっているテロリストを警戒しているからに他ならない。
「返事を聞く」
「これは聖戦だ」
見ればテロリストは腰に何かを巻いていた、それこそはだった。
「だからだ」
「降伏はしないか」
「既に命は捨てている」
カッザーンがある程度予想していた言葉だ、イスラム原理主義者の多くは自分自身の命も考慮していないからだ。
「だからここでだ」
「死ぬか」
「見ろ」
カッザーンを見据えたまま右手に持っていたスイッチを押した、そして言うことは。
「あと一時間だ」
「その腰に巻いているのが爆発するか」
「そうだ」
その通りだというのだ。
「一時間だ、今ここで俺を殺しても外に出すには間に合わないぞ」
「御前の腰から取ってもか」
「取ればそれで爆発する様にしてやる」
そうした細工もしているというのだ。
「もうこのピラミッドは終わりだ、残念だったな」
「生憎だが私は軍人だ」
テロリストを睨み据えたまま告げる。
「軍人は最後の最後まで諦めない」
「絶対にか」
「そうだ、少なくとも御前が死ぬつもりなのはわかった」
それはだというのだ。
「もう一度聞くが降伏はしないな」
「誰がするものか」
挑みかかっては来ないがやはり野獣の顔のままである、王の玄室の中にその顔でカッザーンの前に立ち続けている。
「殺したいなら殺せ、もう間に合わん」
「間に合わせるのが軍人だ、
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