暁 〜小説投稿サイト〜
SAO─戦士達の物語
キャリバー編
百三十話 器の剣
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
う。

と、詩乃は続けて、ちらりと和人を見ながら言った。

「……あとは、其処から転じて、《人の器》って意味もある。《a man of high caliber》とか」
「《器のデカイ人間》、《能力の高い人間》ってか、そう考えたらなんだ、試されてるみてぇだな。なぁキリト?」
「う……」
からかうように言って笑う涼人に和人が怯む。
其処に差し込むように、里香がニヤニヤと笑いながら言った。

「そうね〜、エクスキャリバーの持ち主はでっかい器が無いと駄目って事だもんね〜……そう言えば、何か噂で、最近何処かの誰かさんが短期のアルバイトえどーんとカ性だって聞いたんだけどぉ……」
「ぐ……」
更に唸る和人。
確かに総務省の菊岡から、《死銃事件》の調査協力費がつい昨日振り込まれたばかりだが、しかし既にそれをあてにユイの据え置き機のパワーアップ用パーツを色々と、直葉のナノカーボン竹刀等を発注したばかりで、既に残高は寂しい事に……

……しかし、ここで引いてしまってはそれこそ器が問われると言う物だ。

と、言う訳で、去勢混じりにどーんと胸を叩いて、和人は宣言した。

「お、おう!勿論此処の支払いは任せろって初めから言うつもりだったぞ」
言うが早いが、全員から盛大な拍手と、クラインの口笛が響いた。

「(っはは、デカくでたなぁ、大丈夫かよ?)」
声援に答え終えた和人に、小さな声で涼人が聞くと、和人は苦笑しながら答えた。

「(正直キツイです。けど、今回のはやっぱみんなのお陰で手に入れられたんだし、さ。それに……)」
「(?)」
「(もし俺が今までの世界で何か人の器なんてものに何か学んだとしたら……それって、《一人じゃ何も背負えない》って事だと思うんだ)」
「(……ほう?)」
「(今までも、今回も、多分これからも、俺は兄貴やアスナ、皆に助けられて、何とか絶対に落としちゃいけない物だけは背負って歩けてる……だから、ちょっとしたお礼も兼ねて。ってわけ)」
照れくさそうに言った和人に、涼人は驚いたような顔をする。

「(?何だよ)」
「(……成程、いつまでもガキでもねぇか)」
「(あのなぁ……そりゃガキだったかもだけど……)」
「(っはは、冗談だ。そうか……全員で手ぇつないで、円になって……)」
「(あぁ。その内径が、きっと俺の……皆の《キャリバー》だ…………だからさ、兄貴)」
嬉しそうな声で言って、不意に和人は少し真剣身のある声で言った。

「(もし兄貴が背負ってる物が有るなら……俺にも、ちゃんと分けてくれよ?)」
「(……!)」
テーブルの向こうのメンバーを微笑みながら眺めていた涼人は、驚いたように目を見開いた。

「(……あぁ、そうだな)」
一瞬その表情で固まってから、不意に、涼人は眼を閉じて
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ