14部分:第十四章
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クリートの世界に二人の足音だけが響く。
地下鉄大通駅とススキノ駅を結ぶこの地下街のオーロラタウンと呼ばれる場所に今いた。昼も夜も賑やかな筈のこの場所も流石に誰もが眠るこの時間では静かなものだった。そこを二人は静かに進んでいたのだ。
その彼等の前に人影が一つ浮かび上がってきた。それは少しずつ大きくなりやがて人と同じ大きさになった。一見するとそれは普通の人であった。
「ふうん、面白い人達だね」
白い上着にズボン、コート、靴といった服であった。全てが白で覆われた見栄えのする服であった。その服に身体を包み込んでいるのは黒く縮れた髪に黒檀の目を持ち無邪気な笑みを浮かべる若者であった。眉は太く彫もいささか深い顔をしている。その彼がゆっくりと二人の前に姿を現わしてきたのだ。
「僕に似てるね、雰囲気が」
「だから会ったのよ」
沙耶香が彼に言う。
「ここでね。きっと会えると思っていたわ」
「僕も今日は面白い人達で会えると思っていたんだ」
白衣の若者もそれに答える。首を傾げたり揺らしたりしていささか落ち着かない感じである。その動作は確かに子供じみている。しかしそれ以上に何か妖気を感じさせるものだった。
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