第七章
[8]前話
「来てるの」
「そうですね、それじゃあ」
「今から」
「ええ、皆今月もお迎えしてくれて有り難う」
初代先生は笑顔で言う。
「今からね」
「はい、用意は出来ています」
先生が笑顔で応える。
「この娘達の相手をして下さい」
「先生、この娘達に名前を教えてあげて下さい」
由紀が初代先生に言う。
「初対面ですし」
「あっ、忘れていたわね」
「はい、ではお願いします」
「わかったわ。それじゃあね」
初代先生は由紀の言葉に笑顔で頷いた、そして。
二人に顔を向けて綺麗なお辞儀をしてからこう名乗った。
「はじめまして、高橋センよ」
「センさんですか」
「そう仰るんですね」
「生まれは江戸の頃よ」
その頃だというのだ。
「幕末の江戸に生まれてね」
「東京生まれですか」
「そうなんですね」
「そう、父は儒学者だったわ」
「その縁で漢籍に造詣が深いんですね」
「学者の家だから」
彩と佐江はその先生、高橋先生の話を聞いて納得した。
「それでなんですね」
「だからですか」
「そうよ、けれど今は漢詩とかのお話はなしでね」
「今月もたっぷり用意しましたんで」
先生がにかっとした感じの笑顔で言って来た。
「じゃあ食べましょう」
「皆食べて、皆が楽しく飲んで食べる姿が一番いいのよ」
先生はそれが何故かも話す。
「幽霊はそうしたことを見て満足するものだからね」
「実体がないからなの」
由紀が先生に話す。
「それでなのよ」
「じゃあ今から私達も」
「飲んで食べて」
「そうしてね」
二人に笑顔で応えながらだった、由紀はクッキーやチョコレートを出して来た、そうして。
この日は高橋先生も交えて生徒会の面々で楽しく過ごした、その次の日。
彩は登校すると下駄箱のところで自分のところに来た佐江にこう言われた。
「おはよう」
「うん、おはよう」
まずは笑顔で挨拶をし合う、それからだった。
「昨日は楽しかったね」
「そうよね」
「最初jは何かしらって思ったけれど」
佐江はにこにことして彩に話す。
「楽しかったわね」
「ああした幽霊の人もいて」
「死の表し方もあるのね」
「そうなのね、ただ」
「ええ、じゃあまた今度ね」
「十五日ね」
その高橋先生が来る日だ。
「その日楽しみにしようね」
「ええ、今からね」
二人で笑顔で話す、そしてだった。
朝から生徒会室に向かって少し仕事をする、その机は今は誰もいないがそこには先生の温もりが残っていた。
紅百合白百合 完
2013・3・3
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