13部分:第十三章
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落ちだしておりオレンジが混じりだした太陽の光が白い雪を照らしていた。
「さて」
速水はそのオレンジと白の混じった街の中で沙耶香に声をかけてきた。二人は並んで街を歩いていた。
「私にとっては不本意ですが今はデートではありません」
「私にとっては別に不本意なことではないけれど」
沙耶香はまたしても妖しい笑みで言葉を返す。
「別にね」
「冷たいことで」
「貴方も。また諦めないのね」
「諦められるものでしたらそれは想いではないのではないですか?」
またカードをポケットから出してきた。それは恋人のカードであった。
「ほら、カードも言っています」
「本当に見事な占いね」
それには感心する言葉を述べる。
「外れたことはないのかしら」
「私の占いは決して外れることはありません」
それは豪語ではなかったがしなやなか自信があった。そうした言葉であった。
「何があろうとも」
「恋でも事件でも」
「そうです。とりわけ魔性を語る場合には」
しなやかな、鞭の如き強さの言葉であった。その言葉こそが彼の自信だったのだ。自信は何も鉄の棒の如く強いものばかりではないのだ。しなやかなものもある。彼の自信はそうしたしなやかなものであった。それがまた彼らしいと言えた。
「それでは占って欲しいことがあるの」
「それは何でしょうか」
「犯人は。何者かしら」
「そうですね」
またカードを出してきた。出て来たのは悪魔のカードであった。最早何を意味するのか言うまでもない、あからさまとも言える不気味なカードであった。
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