第二章
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「どんなところなの?」
「ううん、ここよりずっと都会でね」
「人も多いわよね」
「一杯いるよ、山もなくてね」
「お城あるわよね、物凄く立派な」
「名古屋城だね、他にはテレビ塔もあるよ」
浩史は由利香にこれのことも話した。
「他には名古屋ドームね」
「名古屋って楽しい場所なのね」
「僕ずっとあそこにいたいよ」
そこまで好きなのだ、実際に。
「だって名古屋っていい場所だから」
「それでなのね」
「うん、ここはね」
「嫌?」
「嫌じゃないけれど」
それでも、ここからが主旨だった。
「それでもね」
「名古屋と全然違うっていうのね」
「きし麺もういろうも味噌煮込みうどんもないし」
それにだった。
「名古屋コーチンも海老もね」
「モーニングも?」
「ないから、とろりとしたスパゲティも」
あんかけのものだ、とにかく浩史は名古屋の食べ物が大好きなのでそうしたものがないととてもだというのだ。
「おそばに林檎はあるけれど」
「温泉もあるわよ」
「お風呂は名古屋にもあるから」
「嫌なのね、ここは」
「そこまでは思わないけれど」
「寂しい?」
「行くのが大変で」
それでだった。
「そうしたのが何もないから」
「そうなのね。確かにここはお蕎麦と林檎以外は山しかないからね」
「由利香さんはずっとここにいるの?」
「多分ね」
由利香はにこりと笑って浩史の問いに答えた。
「そうなるわ」
「名古屋にも行かないんだ」
「旅行で行きたいけれど」
だがそれでもだというのだ。
「住む場所はここよ」
「ずっとなんだ」
「そう、ずっとね」
ここに住んで生きていく、そうするというのだ。
「林檎園にいるから、ここのね」
「そうなんだ」
「浩史君は名古屋にいるのね」
「うん、いたいよ」
これが彼の幼い頃の考えだった。
「だって僕名古屋大好きだから」
「そうよね。けれど年に一回は絶対にここに来てくれるわね」
「お父さんとお母さんが連れて行くから」
それでだというのだ。
「だからだよ」
「そうなのね、じゃあ今みたいにね」
「年に一回はね」
「来てね」
「うん、そうするよ」
本音では行きたくないが仕方がなかった、こうしたことを話して二人で林檎園で遊んだ。
幼い頃の浩史は長野は好きではなかった、ただ親達に連れて行かれるだけだった。
だがそれが次第に変わって来た、中学校に入る頃になると。
長野に行くことが口では言わないが楽しみになってきていた、何故なら。
由利香と会える、それでだった。
浩史も大きくなったが由利香もだった、高校生になった由利香は子供の頃の外見がそのまま成長した感じだった。
脚も長くなり胸もまた、その彼女に会いたくてだった。
夏にな
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