第三章
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「絶対にな」
「そう、じゃあ楽しみね」
「中国各地の拉麺を出すからな」
「お店の売上的にも期待出来るわね」
北京は中国の首都だ、首都には各地から人が集まる。その各地から来た人達も客として来るというのだ。
「そうよね」
「勿論だよ、店も繁盛するぞ」
「そうしたことも楽しみね」
「働けば働くだけ金持ちになる」
これが理想だが実際は働けど、という場合もある。
「いいことだな」
「それだけで幸せね」
「全くだ」
こうした話をしたうえでその各地の拉麺を出した、無論他の麺もだ。
すると客達がそれぞれこう言うのだった。
「これが北京の本当の味だよ」
「そうそう、上海の拉麺はこうなんだよ」
「四川の辛さを再現しれてるな」
「わかってるじゃないか、広東の味」
「西安だよな、これ」
「湖南が懐かしいよ」
「瀋陽の拉麺がここで食えるなんてな」
こうそれぞれ言うのだった、それぞれの出身地の人が郷土の味を楽しむだけではなかった。別の地域の拉麺も食べて。
それで店は繁盛した、だが。
ここでだ、客達の間でこんな話になった。
「何処の拉麺が一番美味い?」
「何処のか」
「何処の拉麺がか」
「ああ、何処のが一番美味いだおるな」
こうした話になったのだ。
「一体な」
「広東じゃないのか?」
客の一人がここの拉麺を出した。
「やっぱりあっさりとした塩味で海産ものが入ってるのがいいだろ」
「ああ、海老に貝にな」
「烏賊もあるしな。豪勢だしな」
「食は広東にありだろ」
完全に広東料理派の主張だ。
「もうダントツだろ」
「そうだな、それじゃあな」
「広東で決まりだよな」
「拉麺はな」
「いや、違うだろ」
だがすぐにだった、広東派への反論が来た。
「四川だろ」
「そうだよな、あの辛さがいいよな」
「辛いの食べたら身体が温まるしな」
「肉もいい味になるしな」
「ああ、やっぱり四川だろ」
「拉麺は四川だよ」
四川派はこう主張する、だが。
今度は上海派が参戦してきた、彼等も言うのだ。
「おいおい、上海を忘れてるのか?」
「拉麺も上海だろ」
「広東も四川もないだろ」
「上海に勝てるか」
上海派も自分達の拉麺こそが最高だと言う、そして北京も西安も湖南も瀋陽も言う。各地の拉麺それぞれに派閥があった。
彼等は店の中で言い合う、だがその彼等に対して。
店の店長である張はすぐにこう言った。
「料理で喧嘩するな、それは馬鹿のやることだ」
「あっ、そうですか」
「それは駄目ですか」
「料理は楽しむものだろ」
だからだというのだ。
「食べて確かめろ」
「食べてですか」
「そうしてですか」
「いっちょランキングでもはじめるか」
ここでこれをしようかというのだ
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