第四章
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携帯の向こうの彼女に対して狼狽、私もそうなっている声で言った。
「今から携帯にかけるわね」
「そうした方がいいわね」
「そうよね、それじゃあ」
まさにすぐにだった、私は彼女との話を終えてすぐに彼にメールを送った、電波のことを考えてパソコンを開いてそれで送った。
祈る様な気持ちだった、すぐに返信が欲しかった。すぐに来るものではないことがわかっていてもそれでもだった。
メールを送った、それでも不安は増すばかりだった。
だがここで部屋の電話が鳴った、それに出ると。
「おい、テレビ観たか?」
彼の声だった、間違いなかった。
「今こっち大変だよ」
「大変って。大丈夫なのね」
「メトにいるんだよ、今」
彼が仕事をしているそこにだというのだ。
「ツインタワーからは離れてるからな」
「だから大丈夫なのね」
「ああ、そうだったんだよ」
「よかったわ、まさかって思ったから」
「俺は大丈夫だよ。けれどそっちが不安に思っているだろうって思ってな」
それでだというのだ。
「電話したんだよ」
「安否の電話ね」
「そうだよ。俺は無事だからな」
「ほっとしたわよ」
「そうか、俺も安否を伝えてな」
「ほっとしてるのね、そっちも」
「ああ、よかったよ」
こう私に言ってくる。
「とにかくこっちは大変だよ」
「そうね・・・・・・あっ」
「おい、何があったんだ?」
「また。もう一本の方にも」
飛行機が突き刺さった、もう一本にもう一機が。
まるで漫画の様な光景だった。そうとしか思えなかった。
けれどそれは現実だった。実際に彼もこう言ってきた。
「今見たぜ」
「そうなの、そっちも」
「リアルでな。これは洒落にならないだろ」
「一体どうなるのかしら」
このことがまず不安になった。
「こんなことがあって」
「そのことだよな」
「無事だったけれど」
「まだ何もわかってないよ」
彼は私に言う。
「これからのことはさ」
「帰られるかどうかも」
「ああ、仕事が終わっても状況が状況だからな」
「具体的なことは何もわかってないから」
「誰がやったのかもな」
この時はまだわかっていなかった、わかるのはこれからだった。
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