1部分:第一章
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てやっぱり楽しいよね」
「な、何で奴だ」
「さあ、今度は君の番だよ」
影は右の社長に近付いてきた。
「心臓貰えるかな。お腹空いたし」
「あわわわわわ・・・・・・」
惨劇は続いた。翌朝警官達が見たものは無残な残骸と鮮血、ぶちまけられた臓物で化粧された事務所の中であった。そこに生きている者は誰もいなかった。
「おい、またかよ」
警官の一人が大きく溜息をついて言う。検死官や警官達が慌しく動き回っている。
「しかも今度は何人もって。何人死んだんだ?」
「それがわかる状況じゃないな」
同僚の警官が横から言ってきた。窓も天井も鮮血と臓物、様々な体液で汚されそこに残骸にしか見えない骸が無数に転がっている。首や腕がないのはまだましな方で脳を頭からほじり出されたり腹を割かれ内蔵を出されたものや無造作に引き裂かれたものもある。中には死体の一部が無残に食い散らかされているものもある。
心臓をくり抜かれた大柄な人相の悪い禿げた男の屍もそこにあった。睾丸は蹴り潰され腹まで裂かれ目はくり抜かれ左手は肩から引き千切られている。どうしようもなく無残な有様である。
「こいつはわかるな」
「ああ、ここの社長だよな」
警官達はむせかえる屍と鮮血と体液の悪臭に吐き気を堪えながら話をする。部屋の中はそうした悪臭で満ちていたのだ。
「元木剛造か。今までこいつの悪事には俺達も散々煮え湯を飲まされたが」
「それでもこの殺し方はないよな」
目もくり抜かれた顔は恐怖で凍ったままであった。それを見ると彼が生きたまま殺されたのは明らかである。生きたまま引き裂かれていたのだ。
「他の奴等も同じみたいだな」
「全員生きたままか」
「しかし。何だこれは」
頭が半分なくなった死体もそこにある。ついでに肋骨も何本か無理矢理引き摺り出されている。半分なくなった人相の悪い顔もまた恐怖で凍っていた。右半分だけが。
「骨とかそんなの全く関係なく引き裂いたのか?」
「いや、これは違いますね」
死体を片付けている者がそれに応える。
「これは・・・・・・腕で削り取ったみたいですね」
「腕で!?」
「はい、指と爪で剥ぎ取る感じで」
「それは人間の仕業か!?」
流石にこれには言葉がない。あまりにも信じられないことであった。
「剥ぎ取るって何なんだ」
「けれどこの傷跡は」
「まるで熊だな」
そうとしか思えなかった。だがどの死体も熊によるものとは全く思えなかった。それよりも遥かに凶悪で剣呑なものを感じずにはいられなかった。
「内臓の残骸を見ても食った後があるしな」
「いかれてやがる」
そうとしか思えなかった。警官達は無残な屍の中でそう呟くのだった。
「一体誰がこんなことを」
「人間の仕業なのか」
そんな有様であった。彼等は屍の中で呆然として
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