第二章
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それで私は十枚のカード全体を見ながら言った。
「極端には悲観することないから」
「だといいけれどな」
「そう、けれど塔は」
結果にこのカードが出たのが気になる、それで私は言うのだった。
「これが怖いわね」
「気をつけろってことか」
「ええ、他のカードはいいのがあるから」
「何かはっきりしない言葉だな」
「矛盾してるって自分でも思うけれどね」
それでもだった、私は彼に言っていく。
「いいカードも多いし他のカードも極端に悪くないから」
「気をつけるのは塔だけか」
「そう、だから極端には悲観しないでね」
「わかったよ。とにかくし仕事が終わったらホテルに帰ってな」
彼もこう私に言う。
「メトの周りには長居しないよ」
「そうした方がいいわね」
「ああ。しかし御前ってな」
「私はって?」
「これ差別用語だけれどな」
こう前置きしてからの言葉だった。
「ジプシーみたいだな」
「タロットで占うからよね」
「ああ、ジプシークイーンか?」
「クイーンはいらないと思うけれど」
「イメージだよ、何処か気品があるからな」
「褒め言葉って思っていいかしら」
「思ってくれよ。とにかくな」
「ええ、気をつけてね」
「死んでお別れとか勘弁して欲しいからな」
彼にしてもそれは避けたかった、だからこその言葉だった。
「気をつけてくるな」
「そうしてね。本当に」
私はこう言って彼を見送った、そしてだった。
彼はニューヨークに旅立った。仕事が終わればすぐに帰ると私に約束して。
暫くは何もなかった、だがある日の午後に。
仕事場の友人の一人が食事中に私にこんなことを言ってきた。丁度喫茶店でサンドイッチの軽い食事を彼女と二人で採っている時に。
彼女はサンドイッチについているゆで卵の殻を剥きながら私に言ってきた。
「ねえ、あんたの彼氏ってね」
「彼がどうしたの?」
「今ニューヨークに行ってるって聞いたけれど」
「ええ、そうよ」
「あそこって危ないわよね」
「そうね。だから心配なのよ」
「そうよね。何もないといいけれど」
彼女も不安な面持ちで私に言ってくる。
「アメリカ自体が最近」
「物騒よね。けれどそれは」
「元からっていうのね」
「特にニューヨークはね」
彼が行っているその町は特にだった、だが。
ここで彼女は私が思っている以上のことを言ってきた、それはというと。
「アメリカって前から色々な国に嫌われてるし」
「やりたい放題やってるからよね」
「人だって一緒じゃない」
やりたい放題やれば嫌われる、そういうことだ。
「嫌われるじゃない、やりたい放題だと」
「うちの職場にはいないけれどね」
差お祝いそうだった、本当に幸いなことに。
「それでも人でもそうで」
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