第一章
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ジプシークイーン
彼は占いをする私の前に座ってこんなことを言ってきた。
「占って欲しいことがあるんだけれどね」
「何かしら」
「今度仕事で危ない場所に行くんだよ」
こう私に行ってくる、丁度私は彼のことを占っていた。もう付き合って何年にもなるお互いに気心の知れた相手だ。
その彼が私にこう言ってきたのだ。
「それでだけれど」
「丁度貴方のことを占ってるから」
私はそのまま彼に返した。
「安心して」
「そうか。本当に丁度いいね」
「ええ、じゃあ今からカードを並べるわね」
私の占いはタロットだ、他にも水晶も使うがよく使うのはこれだ。
そのカードを混ぜ終えたところで彼にこう返したのだ。
「今からはじめるわよ」
「ああ、頼むな」
「それで何処に行くの?」
「ニューヨークだよ」
彼が出した町はアメリカのあの町だった。
「最近は治安がよくなったにしてもな」
「まだ日本よりは危ないわね」
「この町よりはな」
東京、私達がいるこの町よりは危ないことは確かだ。ニューヨークは魅力的だが危険な町でもあるのだ。
しかも彼が行く場所は。
「メトだからな」
「メトロポリタン歌劇場ね」
「ああ、あそこに行くんだよ」
「いい仕事みたいね」
私は世界的な歌劇場に行くことをまずは祝福して微笑みを見せた。
「あの歌劇場に行けるなんて」
「それ自体はな。けれど最近ニューヨークじゃマフィアの抗争が酷くてな」
「メトも巻き込まれてるの」
「歌劇場自体は関係ないさ」
「ああ、観客の中に」
「そうだよ、マフィアのゴッドファーザーがいるからな」
しかもロイヤルボックスにいる、イタリア系のマフィアがイタリアオペラを愛するのは自然のことと言える。
「歌劇場の中はともかくな」
「外に出たらそこで」
「それこそアル=カポネがやったみたいになるんだよ」
「映画みたいにいきなりマシンガンで、とか」
「それが怖いんだよ、だからな」
「無事に帰られるかどうかね」
「心配だからな。占ってくれよ」
微笑みで私に言う。
「俺も不安だからな」
「それを聞いたら私もよ」
その彼の恋人も私もそうなる、彼の不安は私の不安でもある。
だから自分から占いを切り出したのだ、そしてだった。
実際に占いをはじめた、占いのやり方で選んだのはタロットとしてはオーソドックスなケルト十字にした。それで占った結果は。
いいものもあれば悪いものも出る、全体的に見てどう言うことなのかすぐには言えない占いの状況だった、そして。
最後のカードを見た、その結果は。
「怖いわね」
「そのカードは」
「これ、知ってるわよね」
彼にもそのカードを見せる、そのカードは。
「塔よ」
「それってタロ
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