アンドリュー・フォーク
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
「くそっ」
取り巻きの集団と別れて、アンドリュー・フォークは短く毒づいた。
トイレの洗面台。
鏡に映る自分の姿を見ながら、フォークは苛立つ心を沈めるように、深呼吸をする。それでも心に残った苛立ちは簡単には抜けることはなかった。
腹だたしい奴だ。
そう呟いた心の中で浮かぶのは、先ほどまで会話をしたアレス・マクワイルドのことだった。
二学年にして、成績は十四位。
戦略や戦術論に優れているが、不得意科目の艦隊操縦と射撃実技に足を引っ張られている。むしろ、二教科も苦手科目がありながら、二桁の前半に順位が位置することは凄い事なのだろう。
少なくとも、戦術という一点ではフォーク自身も勝てる気がしない。
悔しいことであるが、ワイドボーンとの一戦を見て痛感させられた。
勝てないと。それは認めよう、だが。
「十四位だ、十四位」
所詮は成績が十四位であり、学年主席のフォークに比べれば遥かに下だ。
本来なら並ぶことすら許されないのに、戦術シミュレーターでの戦いが全てを変えた。話題に上がるのはマクワイルドだけであり、フォークが注目されることは少なくなった。
それどころか。
考えて、フォークは唇を噛み締めた。
マクワイルドと同等の、いやそれ以下の成績の人間から当たり前のように話しかけられる。
ただクラスメイトというだけでだ。
今はそうかもしれないが、俺はもっと上に行く人間だ。
同じと思われるのは、酷く苛立った。
後悔させてやる。
フォークは思った。
今はせいぜい楽しんでおくがいい。
だが、いずれ上にあがった時、貴様ら全員を後悔させてやる。
その時が楽しみだと、鏡に映った自分の姿がゆっくりと笑った。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ