第二十一話 さっさと片付けてこい!
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将を見ると何も言わずにケスラー少将に作戦計画書を渡した。
ケスラー少将、ケンプ少将も似た様な反応を示した。無理もない、俺もメルカッツ大将も同じような反応をした……。
「質問は有るかね」
メルカッツ大将の問い掛けに皆無言だった。
「ではケスラー少将、ケンプ少将、準備にかかってくれ。卿らが武勲を上げる事を祈っている」
「はっ」
「待て」
敬礼して出て行こうとする四人を呼び止めた。
「ケスラー少将、ケンプ少将、十日で片付けろとのことだ」
「……」
誰がとは言わなかった。言わなくても分かる事だ。
「手間取ることは許されない。反乱鎮圧後、卿らは正規艦隊司令官になる。イゼルローン要塞が陥落した以上、反乱軍が帝国領に攻め入るのは時間の問題だ。我々は早急に宇宙艦隊を整備する必要が有る、分かるな?」
四人が頷いた。
「卿らが正規艦隊司令官になれば宇宙艦隊は九個艦隊の動員が可能だ。本来の半数だが反乱軍の撃退は十分可能だろう。卿らの凱旋を待っている」
「はっ」
改めて敬礼すると会議室を出て行った。
「驚いていたな」
「まあそうでしょう、私達も驚きました」
「そうだな、……それにしてもあの時のヴァレンシュタイン少佐が宇宙艦隊総参謀長か……。あっという間だな、クレメンツ提督」
「まことに」
メルカッツ大将が感慨深げな表情をしている。確かにそうだ、アルレスハイムから僅か三年半しか経っていない。
「いささか心配だな」
「メルカッツ提督もそう思われますか」
「うむ、実力が有るのは良い。だが有り過ぎる平民など帝国では疎まれるだけだ。それにあの作戦案、皆が不安に思うだろうな」
メルカッツ大将が厳しい表情をしている。
「イゼルローン要塞が奪われ反乱軍が何時押し寄せるか分からない状況です。カストロプはオーディンに近い、早期鎮圧が必要な以上あの作戦は已むを得ません。それに帝国は総参謀長を必要としていると思いますが」
「そうだな、それが救いだ。皮肉だが反乱軍の存在が総参謀長の安全を保障していると言えるだろう」
その通りだ、皮肉だが反乱軍の存在が彼の安全を保障している。危うい均衡と言って良いだろう。問題はその均衡が崩れた時だ、その時は……。溜息が出た。
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