第二十一話 さっさと片付けてこい!
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んだが政府も軍も上層部は貴族だ。平民出身の閣下を快くは思っていない。これまではミュッケンベルガー元帥が居たから閣下の事をそれほど恐れなかった。だが今は違う、宇宙艦隊は閣下の掌握下にある。本来なら総参謀長職から解任したいだろうが……」
「出来ないのですね」
クレメンツ提督が“そうだ”と言ってまた溜息を吐いた。
「イゼルローン要塞が陥落した。閣下がその危険性を指摘したにもかかわらず宮中の混乱により対応が遅れた所為だ。この状態で閣下を解任するなど到底できない。一つ間違えば軍に暴動が起きるだろう」
「……」
「それだけに閣下の動向は皆が注目している。自重して頂きたいのだが……」
今度は私が溜息を吐いた、到底可能だとは思えない。あの日、閣下が目覚めた日の夜、閣下は静かに泣いていた。ほんの微かだけど嗚咽が聞こえた。そして“あのクズ共を絶対許さない”そう呟く声が聞こえたのだから……。
帝国暦 487年 6月 28日 オーディン グリンメルスハウゼン元帥府 アルベルト・クレメンツ
元帥府の会議室に何人かの男達が集まった。メルカッツ大将、レンネンカンプ中将、ミッターマイヤー中将、ケンプ少将、ケスラー少将、そして俺。命令伝達者はメルカッツ提督と俺、命令受領者がレンネンカンプ、ミッターマイヤー、ケンプ、ケスラーになる。
「既に知っていると思うがカストロプの反乱を鎮圧せよとグリンメルスハウゼン元帥府に勅令が下った」
メルカッツ大将の言葉に命令受領者四人が頷いた。
「この勅令にヴァレンシュタイン総参謀長閣下はケスラー少将を司令官、ケンプ少将を副司令官とする討伐軍を編成すると決定した」
四人が驚いたように顔を見合わせた。ややあってレンネンカンプ中将が口を開いた。
「宜しいでしょうか?」
「何かな?」
「マクシミリアン・フォン・カストロプは難攻不落と言われるアルテミスの首飾りをもって自領を固めています。二人の能力を危ぶむわけではありませんが混成軍では危険ではありますまいか。正規艦隊をもって討伐に当たらせるべきかと愚考します。再度の御検討を総参謀長閣下にお願いするべきかと」
レンネンカンプ中将の言葉に他の三人が頷いている。それを見てメルカッツ大将が手に持っていた書類をレンネンカンプ中将に差し出した。
「作戦計画書だ、見たまえ」
一瞬戸惑ったが“失礼します”と言って中将は作戦計画書を受け取った。
作戦計画書をめくるにつれレンネンカンプ中将の顔に驚愕が浮かんだ。そして読み終わると大きく息を吐いた。中将の顔には畏怖の色が有る。訝しげにしているミッターマイヤー中将に気付くと無言で計画書を差し出した。受け取ったミッターマイヤー中将は読み始めると“これは!”と驚きを声に出した。そして私達を、次にレンネンカンプ中
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