第二十一話 さっさと片付けてこい!
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職政治家らしい。他の同僚からも嫌われていたらしいから相当なものよ。不当に蓄財した分を返して貰おうという事らしいけどそんな上手く行くのかしら。
「平民達の間で不満が高まっています。国務尚書もその不満を解消しようと大変のようです。事故死というのも怪しいものですな」
クレメンツ提督が冷たく笑った。ちょっと怖い。
「資産調査など貴族にとっては屈辱でしかありません。マクシミリアンが素直に従うかどうか、見物ですね。もっとも従わなければ反逆という事になるでしょうが」
拙い、こっちのが怖かった。そんなしらっとした表情で怖いこと言わないでください。
「国務尚書はそのあたりも考慮済みでしょう。評判の悪いカストロプ公爵家が潰れれば平民達の不満もかなり解消される、そう考えているのかもしれませんな」
「財政的にも大きいでしょう、大分貯め込んでいますからね。接収できればちょっとした臨時収入です。多少の減税が出来るかもしれない。平民達は喜ぶでしょう」
あらあら、この人、軍事だけじゃないの? そっちも分かるわけ? とんでもないわね、溜息が出そうよ。
「なるほど、となると国務尚書の狙いは資産の返還よりもカストロプ公爵家の取り潰し、閣下はそうお考えですか」
総参謀長が頷いた。という事は事故死と言うのは……、怖い話だわ、私は帝国の暗黒部を見ている……。
「その方が他の貴族に対する見せしめにもなります。カストロプ公爵家を存続させるメリットなど何処にも有りません」
平静な表情と口調だ。冷徹、若いけどこの人には冷徹と言う言葉が似合うと思う。でも非情ではない、そう思いたい……。
「では反乱が起きますな」
「これを機に二個艦隊程新たに編成します。そうなれば取りあえず九個艦隊が動員可能になる。反乱軍が攻め寄せて来ても対処できるでしょう」
クレメンツ提督が頷いた。
「動員計画は私とフィッツシモンズ中佐で作ります。クレメンツ提督はカストロプの軍事力について調べて下さい」
「分かりました」
二人の話はそれで終わり元帥府に戻るクレメンツ提督を病院の出口まで見送る事にした。
「どうかな、閣下の様子は。大分良さそうに見えたが」
「表面上は良さそうに見えます。リハビリも熱心にしていますし……」
「……気になる事でも?」
「時々じっと何かを考えています。そして笑みを浮かべるのですが……、怖いと思います」
「そうか……」
クレメンツ提督が溜息を吐いた。
「帝国は今、内憂と外患に揺れている。どちらも軍の動きが大きな意味を持つだろう。司令長官がグリンメルスハウゼン元帥である以上、総参謀長である閣下が何を考えるかが重要になって来るはずだ。周囲がそれをどう思うか……」
「不安に思うと?」
私が問い掛けるとクレメンツ提督が頷いた。
「宮中はもちろ
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