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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第13話 「アレクシア・フォン・ブランケンハイム登場」
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 今回が初陣。
 大目に見てやりたいが、致し方あるまい。
 しかしながらミュッケンベルガー元帥は、やつらを処分する気はないと仰っていた。

「彼らも必死なのだ。なにせ皇太子殿下の肝いりで始まった部隊だからな。そして私は彼らのような者は――嫌いではない」

 ミュッケンベルガー元帥にしてみれば、最大級の譲歩であろう。
 やつらは皇太子殿下の肝いりだという事を、鼻に掛けておらんからな。それどころか我が身を捨てて、勝利を得ようとする。その姿勢は認めざるを得ん。
 好感が持てる。
 今回の勝利で、分艦隊の指揮官。MS部隊。その両方ともが、結果を出した。
 分艦隊の指揮官達もミュッケンベルガー元帥の指示を守っておったし。
 軍の威信も守られた。
 良い事なのだろうな。

「アルトゥル・フォン・キルシュバオム中尉。出頭致しました」
「来たか」

 振り返った先に、アルトゥル・フォン・キルシュバオム中尉が立っていた。
 良い風貌になった。
 オーディンを発ったときとは、大違いだ。
 自分の口元が攣りあがっていくのが分かる。つかつかとキルシュバオム中尉のそばに近寄り、思いっきり殴りつけた。
 床に倒れたキルシュバオム中尉に指を突きつける。

「卿は、敵旗艦を撃沈した。そのことはよくやったと褒めておこう。
 しかしだ。
 独断専行は軍にとって、厳に戒めねばならんのだ。
 貴様の行動が、味方をどれほど危険な目に合わせるのか、分かっているのか!!
 良いか!!
 二度は許さん。
 良いな」
「はっ。肝に銘じておきます」
「よし行け」

 立ち上がったキルシュバオム中尉は敬礼をして、部屋から出て行こうと一歩踏み出した。足はふらついていない。いい根性だ。度胸もいい。
 その背に声を掛ける。

「しかし、その胆の太さが装甲擲弾兵には必要だ。卿は良い装甲擲弾兵になるだろう」
「はっ、ありがとうございます」
「うむ」

 キルシュバオム中尉が立ち去った後、自分の拳を見つめた。

「奴め。俺の拳をまともに受けて、立ち上がってきた。十分だ。奴はモノになる」

 あいつならMS部隊を纏められる。
 MS部隊のトップは決まったな。

「期待しているぞ。アルトゥル・フォン・キルシュバオム“少佐”」

 ■宰相府 ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム■

 第四次イゼルローン攻防戦の報告書が軍務省から上がってきた。
 それほど枚数は多くない。
 表紙を合わせても、六枚だ。

「イゼルローンの悪夢かよ……」

 アルトゥル・フォン・キルシュバオム中尉の事がそのように表現されていた。
 確かに敵旗艦を撃沈すれば、そう呼ばれるだろうな。
 同盟にとっては、悪夢としか言えないだろう。
 取
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