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黒い烏が羽ばたく魔世に
第一章 「グレン・ポッターと賢者の石」〜Glen Potter and The Philosopher's Stone〜
1話 The crow mansion of Monte Lung.「モンテルンのカラス屋敷」
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それゆえに、オレは学校生活の3年目の時にシリウスが脱獄する予定を狂わせるつもりはない。原作では、シリウスは アニメーガス 動物もどきであるし、自分が無実だと知っていたから他の囚人と違い正気を保つことが出来た。オレが何かしなくても、シリウスは大丈夫な筈だ。

それでも、オレはたまに一人でいる時、ふとシリウスがどうしているかと考えていた。


もちろん、オレはこの10年間考えただけで何もしてなかったわけではない。オレはここに来てからほぼ毎日、魔法や魔法知識を祖父の元で学んでいた。

祖父のモラルド・レイモンドは気難しく陰気な性格で、閉鎖的な人だった。オレが祖父に預けられた始めの頃は、祖父はオレに手をかけることはなかった。この頃、オレの世話をしてくれたのは祖父に仕える、高齢の屋敷しもべ妖精のルクドーだった。
祖父は昔、若いころに家出をしたオレの母を怒って、レイモンド家から勘当したらしい。しかし、それにも拘わらずオレを押し付けられたことに苛立ち、オレは当時まだ1歳であるのに母の愚痴を山ほど聞かされた。

曰く、レイモンド家はレイブンクローの子孫で、代々レイブンクローの寮だったのに母はレイブンクローに入れなかった落ちこぼれであり、結局首席にも監督生にもならなかったことだとか。
曰く、当時学校で有名になっていた不良生達とつるみ、挙句の果てそのリーダーである俺の父と結婚しただとか。

一応オレは何も言わなかったが、正直言って、原作で登場しなかったレイブンクローの末裔が俺の母かよとか、当時学校で有名な不良ってオレの父かよとか、そういうのを普通1歳の赤ん坊に話すかよとか突っ込み所は満載だった。だが、祖父に対しての一番の突っ込み所と言えば、オレが転生者が故に赤ん坊の時から物覚えが異常に良くて魔法力も大きいことに気付いた祖父が、「お前は祖先の血を受け継いだ天才だ!」と言ってとたんに手を返したようにオレに手をかけ始めたことだ。頭さえ良ければ何でも良いのか。

というかオレは、前世の記憶があるだけで本当は天才というわけではないのだが、そこは別に敢えて何も言わなかった。というのも、オレの物覚えが良いことに感激した祖父が、魔法に関しての知識やら技術やらを惜しみなく教えてくれるようになったからだ。
知識は2歳、技術は4歳頃から学び始めた。そして、オレは5歳の頃には祖父が庭に生えているサンザシから彫り出してくれた芯無しの杖でいくつかの妖精の呪文を扱えるぐらいにはなっていた。

さすがレイブンクローの子孫だということあって祖父の知識と知識欲は豊富で、家にはたくさんの魔法に関する書物がまるで図書館のように置いてあった。家が妙に広いのも、それらの本がたくさん置かれているからなのだ。

しかし本当に大変だったのは、祖父の授業は1年を通して休日が1日し
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