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ヘタリア大帝国
TURN86 宇宙台風その九
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 だがだった、ロレンスはその陸軍の料理を食べて唸っていた。
「これは」
「どうなんですか?」
「美味しいですね」
 こうフェムに答える。
「絶品です」
「そうなんですか」
「エイリスでここまでのものを食べたことがありません」
 そこまでの味だというのだ。
「これは」
「そうなんですね」
「はい」
「そうですか」
「あの、何か」
「いえ、何でもないです」
「エイリスの食事もいいですが」
 ロレンスはフェムの曇った顔に気付かないまま話していく。
「いや、陸軍さんのお食事はいつもいいですね」
「あの、ロレンスさんは海軍さんのお食事は」
「はい、ないです」
 食べたことがないというのだ。
「そちらは知りませんが見たところ豪華ですね」
「一度お召し上がりになられれば」
「わかりました、それでは」
 かくしてロレンスは海軍の馳走も食べる、だが言うことは同じだった。
 フェムはそのロレンスを見届けてからそのうえでだった。
 難しい顔になってベトナムにこう囁いた。
「あの、ロレンスさんも」
「山下長官と同じくな」
「味覚が、ですよね」
「人は、まずいものばかり食べているとだ」
「味がわからなくなるんですね」
「見るといい、あの食事を」
 ベトナムは陸軍のテーブルを見る。いるのはその日本陸軍の面々とそしてエイリス軍の将兵達だけである、
 他には誰もいない、それでだというのだ。
「殆ど誰もいないな」
「そうですね」
「陸軍さんとエイリス軍以外はな」
「そこまで酷い・・・・・・ですよね」
「私が食べてみてもな」
 ベトナムはあえて多くは言わなかった。
「本当にな」
「私もあれはかなり」
 フェムも言うことだった、尚今は雨は降らしていない。
「料理の専門の人が作ってないんですね」
「だからだ」
「ああした味なんですね」
「海軍の方に行こう」
 ベトナムはフェムに薦める。
「是非な」
「わかりました、それじゃあ」
 こうしてフェムはベトナムに連れられて海軍の食事を食べる。そうしたのである。
 陸軍の食事は本当に限られた顔触れだけが堪能していた、その彼等が海軍の食事を食べてもこう言うだけだった。
「ふむ、こうしたものか」
「美味いな」
「贅沢に過ぎるとは思うがな」
「それでも美味いな」
「そうだ」
「海軍も美味いものを作るな」
 山下も海軍の料理を食べている、そして言うのだ。
「これは」
「ま、まあそうだね」
 南雲もあえて多くは言えなかった。顔は引いている。
「長官さんも気に入ってくれたね」
「うむ、これからもこうしたことは行うべきか」
「そうです」
 ここで答えたのは日本だった。
「海軍、陸軍共同でパーティーやレセプションを続けていきましょう」

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