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レインボークラウン
第五十七話

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                    第五十七話  転校生の噂
 転校生が来るのは間もなくだった、華奈子はその話を美奈子から聞いていた。それはもう数日後だった。
「ねえ、今はね」
「今はって?」
「噂だけだからね」
 それに過ぎないというのだ、今は。
「だからあれこれ言ってもね」
「仕方ないっていうのね」
「あたし何かそう思えてきたけれど」
「ううん、そうなのね」
 美奈子は華奈子のその言葉を聞いて考える顔になった、今は夕食後の憩いの時間で二人で同じソファーに座ってテレビを観ている、その最中でのやり取りだ。
「華奈子はそう思ってるのね」
「美奈子は?」
「正直不安なの」
 美奈子はこう華奈子に返した、華奈子のその言葉を聞いて。
「どんなの娘なのか」
「そうなのね」
「うん、華奈子は強いね」
「強いかしら、あたし」
「うん、そう割り切って考えられるのがね」
 そのことが出来ることが強いというのだ。
「私はそこまで割り切れないから」
「あれこれ考えても仕方ないからね」
 今ここでこう話してもだというのだ、考えてもだ。
「それよりあの娘が来た時にね」
「その時になのね」
「そう、その時にどんな娘か見てね」
 そうしてだというのだ。
「やっていけばいいかなってね」
「そうなのね」
「多分春奈ちゃんだとあれこれ考えてるわよね」
 六人の中で一番頭がいい彼女なら、というのだ。
「どんな娘でそれぞれの性格でどう対応するかね」
「そこまで考えてるわよね、春奈ちゃんだと」
「うん、だからね」
「けれど華奈子はそう考えるのね」
「出たとこ勝負でもいいかなってね」
 そう考えてもいるというのだ。
「そう考えてるの」
「華奈子らしいけれど強いわね」
 またこう言う美奈子だった、そうした話をしつつ。
「やっぱりそう思うわ」
「まあいい娘ならいいけれどね」
 華奈子はその場合なら問題ない、というのだ。
「悪い娘なら困るけれど」
「その場合はそうよね」
 性格が悪いなら、というのだ。実際に性格のいい人間もいれば悪い人間もいる、この辺りは男女問わずである。
 そうした話をしてだ、華奈子は。
 テレビを観つつだ、美奈子に微笑んで美奈子に一緒に観る様に言った。今はこうした話をしつつ楽しむこともしていた。


第五十七話   完


                            2013・7・26
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