第121話 何進暗殺
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を知らないから泉が話すのをただ聞いていた。
「私は劉弁派でもあり劉協派でもある微妙な立ち位置だ。上洛すれば傍観することはできなくなる。だから、理由をつけて上洛するのを先延ばししている」
「?」
泉は要領を得ない様子だった。
「私は元々、麗羽と縁ある何進様と懇意にしていることは知っているな。だから私は劉弁派だ。しかし、先帝が生前に私に協皇子を後援するよう頼んできたため劉協派でもある。このことを知る人間は協皇子と何進様と私の妻達、宦官の張譲のみだ」
正宗は『蹇碩』の名を省いた。彼は劉宏が崩御した後、早々と何進を殺そうと決起しようとしたが、事前に事が露見し何進に返り討ちにあい殺された。
正宗にとって懸念の一つであった『蹇碩』が消えたが、一番の懸念である『張譲』は未だ存命だ。張譲は既に齢八十を越えるが未だ死ぬ気配が全然ない。正宗は張譲が老衰で死ぬことを望んでいた。
「正宗様、複雑な人間関係なんですね」
泉は正宗の顔に自分の顔を近づけヒソヒソと言った。
「そういうわけで私は洛陽に上洛できない。お前達には麗羽達が下野するような事態に陥った時に彼女達の手助けをして欲しい」
「納得いきました」
「泉、瑛千、何かあれば些事に関わらず早馬を送るようにしれくれ」
「どんなことでもですか?」
「そうだ。それと山陽郡に流れてくる洛陽の情報は必ず報告してくれ」
「わかりました」
「私は大事あれば援軍を送れるよう準備はしておく」
「正宗様、何をそんなに警戒しておいでなのですか?」
瑛千は正宗の警戒感に疑問を抱いているようだった。
「私が警戒しているのは董仲穎だ。違うな。董仲穎の軍師、賈文和だ」
「賈文和?」
「黄巾の乱の時、董中郎将の代理として正宗様を訪ねてきた人物ですね」
泉は黄巾の乱の征伐に正宗に随行していたので面識があり思い出したようだ。
「黄巾兵相手に負け戦続きだった董仲穎の軍師が都で何かできるとは思えないです」
泉は賈文和を気にする程の人物でないと思っているようだ。
「あの時、賈文和はわざと負けていた。賈文和は黄巾の乱が収まることを望んでいなかった。あのまま世が乱れ、黄巾の乱の被害が拡大し国が崩壊することを望んでいた」
「正宗様、その根拠をお教え願えますか?」
瑛千は正宗の言葉に反応した。
「董仲穎が預かった軍は元々先任の盧中郎将の兵だ。その数は四万だ。黄巾兵と相対する兵数としては決して少ないとはいえない。盧中郎将が指揮している時は後一歩というところまで追い込んでいた」
「それは董仲穎の指揮が不味かったのでは?」
「私もそう思います」
泉と瑛千は口を揃えて言った。二人の意見に正宗は全く同意せず話を
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