第4話 少しだけ暗い洞窟
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ぼんやりと、白いもやがかかった目の前を手で振り払う。喉がざらざらして、気持ち悪い。
「ほら、リュカ。顔洗え」
「わふっ」
顔に押し当てられた冷たいものに、ぼくは思わず声を上げた。ひんやりと、気持ちが良い。
タオルを桶の中に置いて、ぼくとサトチーにいさんは部屋を出る。良い匂いのが階段から流れてきた。自然と降りる足も軽くなる。
テーブルの上にはサンチョが作った朝食が並べてある。旅路とは違って柔らかいパンと、暖かなスープ。おいしい。あったかい。
「む、リュカもサトチーも起きたか」
身支度をしたおとうさんが奥の部屋から出てきた。普段よりも軽装だけど、武器も持っている。どこかいくのかな?
「父さんはちょっと出掛けるが……二人とも良い子にしているんだぞ村の外には出ないようにな」
「おう、俺達だけで村の外に出るなんて無謀なまねはしないよ」
珍しく、サトチーにいさんが素直に返事をした。けれど――
「村の外にはね……」
――呟いた小さな声は外に出るおとうさんには、聞こえなかったみたいだ。悪いことを考えている顔だって、すぐに分かった。
「ほら、あそこだ」
サトチーにいさんが指差したのは、少し小高い場所にある洞窟だった。ぼくの胸は高鳴った。探検だ!
「あれ?」
ぼくは思わず声を上げた。洞窟のそばに有る小屋からおとうさんが出てきた。そしてそのまま洞窟へ向かっていく。
「まぁ、待て」
おとうさんを追いかけようとしたぼくをサトチーにいさんが首根っこ掴んで止める。
「親父がなんで俺達に言わずに一人であんな洞窟に入っていったと思う?」
そんなこと言われても分からない。
「実はだな、あの洞窟には古代の魔王が封印されていて親父はその封印が解けるのを察知して魔王退治に出掛けた光の戦士だったんだよ!地球は滅亡する!!」
な、何だってー! とサトチーにいさんが自分で言って自分で驚く。
でも魔王がいるなんて大事件じゃないか!
「うむ。というわけでリュカ。俺達に課された使命は親父の手助けをすることだ。行くぞ! 隊員2号!」
「ラジャー!」
なんだかすっごくわくわくしてきた。でもサトチーにいさんがぼくを止める。
「待て。あの小屋にいるあのじいさん、あれは魔王の手先だ。俺達が洞窟に入らないように見張っているんだ」
それじゃあどうやって洞窟に入るの?
「こっちだ」
サトチーにいさんに手を引かれて、少し歩くと洞窟に入れる別の道を見つけた。
「じゃあ行くぞ」
「うん!」
ぼくとサトチーにいさんは大人達に見つからないように、こっそりと洞窟に入った。
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