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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
宝剣演義・其ノ八
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その光景を全員が固唾をのんで見守った。誰もが手を貸したいと思い、しかしその手を出しはしない。それは今から羽ばたく一人の少女の妨げになってはいけないという思いからであった。
もどかしいほど緩慢に、しかし確実に少女は手に力を籠め、やがてその体が持ち上がる。
「あ―――」
一瞬、持ち上がった体がふらつき、重心が崩れかける。全員が思わず息を呑んだ。
「―――っと」
しかし、彼女は慌てず騒がず静かに”足を動かして”重心を保った。それは健常者から見れば余りにも危なっかしい動きだったが、確かに―――自分の意志で彼女は足を動かした。
瞬間、見守っていた人たちから弾けるような歓声が上がる。
「きゃー!!生まれたての小鹿よりもしっかりと立ってるわ!!」
「立った!見て下さい立ってますよ自力で!はやてちゃんが立ったぁぁぁぁ!!」
「オメデトー!おめでとう!おめでとさん!コングランチュレーショーン!」
「お見事です!主はやて!!」
「良くわかんねーけどスゲー!ギガスゲー!」
互いに手を取り合って飛び跳ねる主治医の石田先生と金髪騎士シャマルちゃん。動けるようになった理由を知っているためそこまではしゃいでいない苗。事情は良く分からないがとりあえずノリで感動するその他の騎士ちゃんたち。
ちなみにここは海鳴大学病院。無論この後騒ぎ過ぎてはやて以外の全員が(石田先生も含めて)おしかりを受けたのは言うまでもなかった。
〜 宝剣演義 其ノ八 〜
実際の所私には彼女たち守護騎士が本当にはやてちゃんの味方なのか判別できない。理由は簡単、わたしが所謂「原作」をほとんど知らないからだ。とりあえずシャマルがブラックウィドーでシグナムがアシェン・ブレイデルという事以外は全然分からなかった(声優的な意味で)。というわけで・・・
「親に許可貰って暫くこの家に住み着くよ!やったね!」
「まーお」
「え!?ホンマ!?」
「ホンマやて。ほら、守護騎士さんたちはちょっと浮世離れしてるみたいだからサポーターは多い方がいいでしょ?」
突然友達が家に押しかけて「今日からここに住むわ!」と言い出したら普通の人は困る物なのだがはやては逆に嬉しそうだった。何せ今の彼女は家に4人もの人が住み着いた事により、彼女の記憶にある限り最も幸せで貴重な「孤独でない時間」を過ごしているのだ。そこに人生初めての友達も加わるとなれば幸せ指数はさらに上昇してうなぎ上りである。
ちなみに許可の方ははやてちゃんの話を「少々盛って」説明したところ驚くほどあっさり許可が下りた。まぁ小学生のお泊りレベルだから時々家の方にも顔を出すし問題はない。ちなみにザフィーラちゃん用のペットフードとか用意しようかと思ったけど「ぽんずちゃんの分も私が作るで!」
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