歌い手、未来に驚く
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ルドを倒さなくてごめん」
「・・・どういうこと?ガルドはあの十字剣じゃないと倒せないはずじゃ・・・」
「うん、あの指定武具以外では倒せなかった」
「じゃあ、倒すことなんて・・・」
「出来たんだ、あの剣を操って、後ろから刺すことは」
僕はそのまま、“奇跡の歌い手”についての説明を始めた。
全てに干渉するその歌のこと、剣の舞という曲のことを。
「奏のギフトって、そこまで出来るものなの?」
「うん。ただ、僕はこの力に恐怖してたんだ。また、大切な人を傷つけちゃうんじゃないかって。そのせいで使うタイミングが遅れた。春日部さんは大怪我をした。だから、ゴメン」
僕は再び頭を下げる。
なんといわれても、それは受け入れるしかない。
全部聴くつもりで覚悟していよう。
「・・・じゃあ、謝罪代わりに一つお願いを聞いてもらってもいい?」
「内容は?」
「一曲、この場で歌って欲しい」
・・・はい?
「そんなことでいいの?」
「うん。奏はちゃんとゲームをクリアしてくれたんだし、それでいい。それに、あの“奇跡の歌い手”の歌を独り占めできるなんて、そうそうないし」
あ、そういえば一個聞きたかったんだ。すっかり忘れてた。
「なんで春日部さんは僕のことを知ってたの?」
「それは、私は奏がいたよりも未来からこの箱庭に来てるから」
そういえば、黒ウサギさんが様々な時代から召喚されてるって言ってた気がする。
「でも、僕はただの歌い手だよ?」
「ただの歌い手は、歴史の教科書に乗らないと思う」
今なんとおっしゃいました?
「歴史の教科書に、僕が?」
「うん、だから私のいた時代では知らない人はいなかったし、音楽もデータだけどかなりの量が残ってる。私の家にもたくさんあって、よく聴いてた」
「・・・マジか・・・」
現実を受け入れるのがかなり困難です。
教科書に載るって・・・ただの歌い手とはもう名乗れないのかもしれない。
「それで、データの音楽を聴くたんびに生で聴いてみたいと思ってたんだけど・・・」
「箱庭で本人にあって、驚きました、と?」
「正解。だから、独り占めできるなら、すごく嬉しい」
ここまで言われたら、断る理由もないよな。
「分かりました。何の曲がいい?」
「まだ寝たほうがいいみたいだし、ぐっすりと寝たいから何か子守歌をお願い」
ふむ・・・なら、あの曲でいいかな。
「では、『J.ブラームス』作曲の『Wiegenlied』を」
伴奏を一小節半歌い、歌詞に入る。
「Gu-ten A ? bend,gut’ Nacht」
春日部さんは、一曲聴き終わると、そのまま眠りについた。
あ、ペルセウスのこと説明し忘れ
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