暁 〜小説投稿サイト〜
私立アインクラッド学園
第二部 文化祭
Kirito's episode 記憶
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こった。

「和人ー、寝る前は歯磨き」
「もう磨いたよ!」

 和人はテレビでバラエティー番組を見て笑いながら言った。

「親父はまだ帰ってきてないの?」
「親父って……せめて父さん、とか言えないの? もうとっくに帰ってきてるわよ」
「あ、ほんとだ。おかえりオトン」

 和人は父親を一瞥し、すぐ様テレビに向き直った。

「……ただいま、和人。なんだオトンって」
「母さんが"親父"言うなって」
「なら母さんは"オカン"だな」

 父親はからからと笑い、和人の座るソファーにどかっと腰を下ろした。母親は盛大な溜め息を吐いた。

 ──その時。

 ダン、ダン、と玄関扉を強く叩く音がした。和人は首を傾げて言う。

「なに? こんな時間に。アリス達かな?」

 叩く音はどんどん大きくなる。

「……まさか」

 母親が口に両手を当てた。その顔は真っ青だ。

「……まさか、家にまで来るなんて……!」
「なあ母さん、親父、なんの話?」
「お前は奥に隠れてろ!」

 父親が叫ぶ。手には愛用している片手直剣が握られていた。

「え、なんで」
「いいから早く!」

 和人は少し驚いたように眼を見開くと、奥へ引っ込んだ。

 ──扉が壊される音がした。

「……きっと、?ラフコフ?ね」

 母親が呟くように、しかし確かな声で言う。
 殺人集団?笑う棺桶(ラフィン・コフィン)?は近年、それらを妨害する者達の家を襲い、何百人にものぼる人々の殺戮に明け暮れている。遂に和人たちの家もターゲットにされたというわけだ。

「あの子だけは、絶対に守ろう」

 父親は力強く囁いた。
 多勢に無勢、苦戦した二人だが、なんとか数人を無力化することに成功した。
 しかし──。

「あなた、後ろ!」
「えっ……」

 母親の叫びに、父親は後ろを振り返った。
 犯罪者が嘲っていた。
 父親の血と、母親の悲鳴と、殺人者の(わら)い声が混濁し──。
 父親はその場に崩れ落ちた。
 固く閉じられた瞼は、もう二度と開くことはなかった。
 やがて、その身が四散した。

「嘘でしょ……」

 母親もまた、絶望に崩れ落ちる。震える手で、目の前で砕け散った夫の剣を取る。
 仇に剣を向けた、その瞬間──。

「……親父?」

 リビングの扉から、あまりに大きなショックを隠せず、黒い瞳を揺らして立ち尽くす少年がいた。

「和人! こっちに来ては駄目。今すぐ逃げなさい!」

 母親が叫んだ。
 殺人者が嘲笑し、和人に向かって自らのナイフの刃先を向け、突進する。しかし和人は、ただ呆然と立ちつくすばかり。
 母親は、今は亡き夫の言葉を思い出した。

 ──あの子だけは、絶
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