巻乃一 アフロ店長と割烹と料亭荒らし
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荒らしを捕まえてほしいのですが…。」
「…話は大体わかりました、自分にお任せ下さい。その者が誰かはわかりませんが、何としてでも捕まえます!」
「さすが幸四郎さん、頼もしいですわ。では、よろしくお願いします。」
幸四郎の言葉に勝美は喜び、幸四郎も人助けに新たな決意を燃やしていた。
どこの誰かは知らないが、絶対にぶっ飛ばす!…と。
しかし、幸四郎は 同時に別の方から流れるよからぬ妖気も感じていた…それは先祖の血によるものなのか、それとも体に宿る酒呑童子の力が騒いでいるのか?
それは幸四郎本人にしかわからない。
(この胸騒ぎと妖気…まさか、な。しかし、あり得ない訳じゃなさそうだ。)
幸四郎は一旦精米店に戻り、拓郎と共に得意先分の新米の精米と袋詰めを手早く終わらせると、二人は店の奥にある神棚に向かい拓郎に話しかけた。
その顔つきは、今までの明るい表情とは思えない程神妙であり、どこか鬼気迫るものがある。
「店長、一体どうしました?」
「拓郎、俺が田村家代々の当主なのは知っているな。」
「はい、知っています。店長の先祖は、かつて江戸を魔道衆から守った武者だと聞いていますが。…まさか!?」
「あぁ、そうだ。実はさっき割烹に配達へ行った時、別方向から魔道衆らしき妖気を感じたんだ。今夜、奴をつかまえるためにもう一度割烹に向かうから、拓郎も力を貸してくれ。その時に俺の実力の一端を見せてやるよ…こいつの力でな!」
すると、幸四郎は神棚に祭られていたバックルに手を伸ばし拓郎に見せた。
そのバックルには右側に扇状の切れ込みが入っていて、そこには青龍と書かれており…更に左側には何故かホッチキス風の拍子木が備え付けてあり、うっすらと鬼気も感じられる。
「店長、これは?」
「これはな、俺が若い頃に造った酒呑童子の力を引き出すバックルだ。
こんな平和な世の中だ、もう使うまいと思ってはいたけどな…。」
そう、本来なら酒呑童子の力は平和な現代の…しかも人助けに使ってしかるべきと幸四郎は考えていたのである。しかし、何らかの事情により魔道衆はよみがってしまった…ならば、もう四の五の言ってる場合じゃない。
向こうがいかなる理由があったとしても、戦う時は戦うしかない。
この時、幸四郎と拓郎は覚悟を決め、視線を合わせ軽くうなずいた。
互いに口を堅く結び、鷹のように鋭いまなざしで未来を見据えながら。
とそこへ、美奈子が昼食の支度を終え二人の元へとやって来た。
満面の笑みを浮かべているあたり、卵焼きの出来がかなりよかったらしい。
「お父さん、拓郎さん、ご飯だよ〜。今日は豆腐の味噌汁も作ったから、早くしないと冷めちゃうよ!」
「じゃあ、まずは昼飯にしようか。腹が減っては戦はできぬ、ってな。」
「そうですね。」
美奈子
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