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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第8話:研究所にて
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笑すると、すぐに元の真剣な表情へと戻る。

「しかし、生物兵器開発にクローンを用いた人体実験か・・・。
 人間の脳にロストロギアを埋め込むなんて、正気の沙汰じゃないぞ」

首を振りながら呆れたと言わんばかりの口調のミュンツァーの言葉に
同意するようにゲオルグとヒルベルトは何度か頷いた。

「それを管理局が関係する施設で研究してたってことは、管理局の、しかも
 それなりの地位についている人間がバックに居ると考えるべきでしょうね」

ミュンツァーのあとを受けるように、ヒルベルトが発言した。
同じ管理局に属するものが人道や倫理に反するような研究に手を染めていた
かもしれないという現実が部屋の空気を重くする。

「それにしても妙じゃありませんか?」

研究所での話を終えてから押し黙っていたフェイトが徐に口を開いた。
フェイトの言葉に他の3人は首を傾げる。

「妙って?」

3人の心境を代表するようにゲオルグが尋ねると、フェイトはテーブルの上にある
紙束を漁って一枚の書類を取り出した。

「この報告書にもある通り、あの研究所で研究されていたのは生物の脳と
 ロストロギアを結合させることによって新たな魔導兵器を生み出すことでしょ。
 でもね、普通に考えれば少なくとも人間と魔力の塊であるロストロギアを
 結合させるなら、リンカーコアと結合させる方が理にかなってると思うんだ」
 
そう言ったフェイトの顔をほかの3人は目からうろこが落ちたような顔で
まじまじと見つめた。

「・・・確かに。
 リンカーコアと結合させて、ロストロギアから魔力を供給するようにすれば
 実質無尽蔵に魔法が使えるようになるのか」

「だな。 他の生物ならまだしも、人間の脳とロストロギアを結合させるのは
 理屈に合わないよな」

ゲオルグとヒルベルトが何度も頷きながら言う。

「だが、ここまで大きな施設を使ってまで研究するんだから、何か意味が
 あるはずだろ」
 
ミュンツァーがそう言うと、ゲオルグとヒルベルトは腕組みをして考え込み始めた。

「それよりも」

男たち3人がそれぞれ思考の海に沈んでいこうとする中で、フェイトが口を開く。

「この件をどう報告しますか?」

フェイトの言葉に3人はパッと顔を上げた。
全員の目がこの場で決定権を持つミュンツァーへと注がれる。

「そうだな・・・、艦長には報告するがそれ以上はな・・・」

ミュンツァーはそこで言い淀んだ。
管理局の中、しかも上層部に今回の黒幕がいる可能性が浮上した以上、
下手な相手に報告しようものなら、ここに居る全員が拘禁あるいは
悪くすれば暗殺される可能性もある。
そのことが状況判断を難しくし、ミュンツァーの口を重くさせて
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