追想〜死銃の結末、疾風怒闘〜
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せ件数を調べてくれ!出来れば、パスワード関連の問い合わせを調べて欲しい!」
えっ、ちょっ、うわっ、と情けない声を上げながらタブレット端末を操作する菊岡。目当ての項目に辿り着いたのか、画面を俺達に突き出してくる。
確かに問い合わせ件数・・・・・・・特にパスワードに関する件数が死銃が現れた期間から激増している。その問い合わせの内容はただ一つ・・・・・・・『パスワードが変わっている』、『ログインが出来なくなっている』事。
「成る程な。つまり、そう言うことかよ」
恐らく斑猫は、死銃(ザザ)と同じ手口で対象の個人情報を洗い出し、ハッキングなりなんなりでパスワードを変更させていたのだ。その目的は・・・・・・・ひとつしかあるまい。
「ふざけているな・・・・・・・!」
ペイルライダーが怒りも露わに拳をテーブルに叩き付ける。推測に過ぎないが、恐らく斑猫はGGOの『金銭変換システム』を利用して、自らが消したプレイヤーの装備を売り払い、あろうことかリアルマネーを手に入れていたのであろう。
「菊岡さん、あいつは・・・・・・・斑猫はどうなるんですか?」
「いや、未だに目下捜査中さ。だがそう遠くない内に捕まるだろう。日本の警察は優秀だからね」
菊岡からこれ以上の事は国家機関に任せる事を約束させられて、俺達はそれぞれの家路に着いた。
何も解決してはいない。斑猫は未だ捕まっていないし、GGOプレイヤー達の努力はやつの所業によって水泡に帰した。しかし、平穏は、確かに帰ってきた。空に向かって白く染まる息を吐き、俺はそう考えながらマフラーを巻き直した。
一方その頃・・・・・・・・
「おおおおッ!」
ALO内、風妖精領近くの森で、一人の少年が短刀を振っていた。相対するのは紺色のコートを纏い、額にゴーグルを着けた青年。組手だ。少年は大振りの短刀、青年は奇妙な武器を手にしている。具体的に表現すると、手首から肘までの腕輪から、二本の鋭い刃が蟹の鋏のように競り出している。漆黒の短刀と、濃い青紫色の武器。周りは煌々と輝き眩しいほどだが、どちらの武器も一切光を反射していない。
幾重にもフェイントを折り込んだ複雑な踏み込みで距離を詰め、青年の懐に飛び込む少年。このまま勝負を決めようと少年の握る短刀が赤い光を纏う・・・・・・・が、
「ぐああああ!」
青年の一撃の方が一瞬速かった様だ。なすすべなく吹っ飛ばされ、地面を転がる少年。短めに切り揃えた金髪・・・・・・・いや黄緑色の髪が汗を滴らせ少年の顔全体を濡らす。
「おらおら甘ぇぞ!攻め続けろ!」
「はい!キューブリック師匠!」
怒鳴られ、怒鳴り返す。どうやらこの二人は所謂師弟の関係の様だ。青年は、自らの艶すらない武器で少年を叩きながら
「おいレコン!
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